カメラ「2億台」の監視社会 中国ハイテク、強権国家を手助けか (1/3ページ)

香港の人工知能(AI)と顔認証技術の研究・開発を手掛ける商湯科技(センスタイム)が北京市内で行っている通行人・車両認識システムのデモンストレーション画面(ブルームバーグ)
香港の人工知能(AI)と顔認証技術の研究・開発を手掛ける商湯科技(センスタイム)が北京市内で行っている通行人・車両認識システムのデモンストレーション画面(ブルームバーグ)【拡大】

  • 新疆ウイグル自治区カシュカルにあるモスクの近くに設置されている防犯カメラ(ブルームバーグ)
  • 天津市内にある天地偉業技術の本社内で行われている顔認証技術のデモンストレーション画面(ブルームバーグ)

 中国政府の支援を得て天津市で監視カメラメーカーの天地偉業技術を築き上げた戴林氏はビリオネアになった。戴氏が同社を創業した1994年当時、中国では屋外カメラは珍しかった。しかし、今は監視カメラだらけだ。人口世界一の中国がプライバシーや人権をめぐる懸念を招くほどのハイテク監視国家になったことで戴氏のような起業家が大富豪入りしたわけだが、関連企業に資金を投じる世界中の投資家には難問を突き付けている。

 個人の好みも追跡

 ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、中国政府が主要な顧客か投資家となっている監視関連企業で富を得た戴氏ら少なくとも4人の資産は総額で120億ドル(約1兆3370億円)を突破している。

 彼らの繁栄が浮き彫りにするのは、中国国民14億人の監視を後押しする習近平国家主席による取り組みの規模だ。IHSマークイットによれば、中国では2016年時点で街角や建造物、公共スペースに約1億7600万台のビデオ監視カメラが設置されている。米国は5000万台と比較にならない。

 習政権は17年、国内の治安関連に推計1840億ドルを投じた。20年までに中国全土を網羅するカメラネットワークを導入し、交通違反からビデオゲームの好みに至るあらゆる個人情報を追跡する「社会信用システム」も整備する。つまり天津であれ別の都市であれ、中国本土内で監視されずに移動することは難しくなる状況が迫っているということだ。

目を凝らせば、“ほぼ全て”が