電力小売り自由化4年目 来年送配電分離へ競争激化

 家庭向け電力販売の地域独占を解禁する「電力小売りの全面自由化」が1日、開始から4年目を迎えた。

 2020年には大手電力の送配電事業の分離が控えており、国の「電力システム改革」は最終段階となる。大手電力と新規参入の企業による価格やサービス競争は、ますます激しくなりそうだ。

 国は00年に工場やオフィスへの電力販売の一部を自由化した。11年の東京電力福島第1原発事故を機に、大手電力が市場を独占する弊害が指摘され、改革が加速。16年4月に電力小売りの全面自由化をスタートさせた。

 今後の改革は大手電力が持つ送電線や変電所の送配電事業が対象となる。20年4月に大手電力が同事業を切り離して別会社にすることを義務づけ、競争環境を一層整える。

 送配電部門には利用者が電力会社を切り替えるとの情報が事前に入る。現在はこの情報を元に、大手電力が安い料金プランを提示して引き留めることが可能だ。分社化によって情報が遮断され、引き留め営業はできなくなる。

 新規参入企業は都市部を中心に利用者の獲得に力を入れ、関東や関西では2割に迫るシェアを奪い、料金低下やサービスの多様化につながっている。ただ地方は参入企業が少なく、消費者の恩恵は薄い。強引な営業によるトラブルが続発するなど課題も残る。

 新規参入の中心企業、東京ガスの会長を務める広瀬道明日本ガス協会会長は「19年度は大きな節目の年になる。激しい競争が続くだろう」と指摘している。