高論卓説

激化する新冷戦 米国がじわりと進める強固な中国包囲網 (1/2ページ)

 米中の対立が激化している。米中貿易協議で表面的な融和的なムードが生まれる一方で、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)での通信覇権をめぐっての争いは激しいものになっている。3月13日、米国欧州軍司令官はドイツがファーウェイの技術を採用した場合には、ドイツ軍との通信を断つ方針を示した。(経済評論家・渡辺哲也)

 これはドイツだけの問題ではなく、世界各国に同様の踏み絵を踏ませており、各国はその対応に追われている。これを見る限り、米中の対立は単なる経済や貿易の問題ではなく、世界の覇権をめぐる争いである。

 東西冷戦で経済的に敗北した中国は、改革開放路線に転換、最終的な自由化を世界に約束した。また、その約束の下で世界貿易機関(WTO)に参加し、為替の自由化を前提に、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)入りを果たした。

 しかし、習近平国家主席はこれを守らず、「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を掲げ、「中華民族の偉大な復興の実現」を目指すとしたわけである。また、南シナ海では、日米などの警告を受け入れず、人工島という名の「軍事要塞」を作り上げ、軍事支配を拡大している。それに対して、米国を中心とした北大西洋条約機構(NATO)諸国などは「航行の自由作戦」という軍事作戦を展開、中国が領有権を主張する海域を自由に航行し、中国の実効支配を認めない威嚇行動を行っている。

 これは戦争であり、運よく軍事的な衝突がないだけの状態であるといえる。明確な冷戦であり、世界は既に戦争状態にあるといえる。そして、経済は戦争の道具の一つに過ぎないわけである。

 戦争に勝つためには、敵の兵站を断つことが常道である。第2次世界大戦での日本へのABCD包囲網がその典型であり、結果的に圧倒的な兵站差により敗北に至ることになった。

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