高論卓説

制度見直しと先端技術で渋滞解消 踏切での一時停止がなくなるかも!? (2/2ページ)

平松庚三

 一方、「開かずの踏切」に起因する渋滞問題も多い。踏切数も日本は多く3万3000カ所だ。鉄道王国だから高架化や地下化も進んでいるが、今も踏切は渋滞の主な原因である。踏切渋滞の大きな原因は「一時停止」にある。

 電車も来ないのに全ての車が一時停止するから当然交通は滞る。踏切での一時停止は常識と思われているが、本当に常識なのか。警報機のある踏切で警報機が鳴っていないときの一時停止のことだが。

 日本の道路交通法では踏切通過時に警報機の鳴っていないときでも一時停止を法令化しているが、警報機が鳴っていないのに一時停止を求めているのは世界でも日本と韓国だけである。

 つまり、他の国々では踏切の警報機が鳴っていないときは「列車は来ない」ということだから一時停止は必要なしとの考えだ。しかし、日本と韓国では「交差点の青信号でも、全ての車は一時停止して左右の安全を確認せよ」と言っているのと同じである。

 不思議なことに、同じ道交法によれば、国内の踏切でも警報機ではなく信号機が設置されている場合には信号が青であれば一時停止の必要はないという。それならば、日本中の踏切を警報機から信号機に変えれば一時停止は不要になり交通事情はだいぶ改善されると思うのだが。そこで、筆者は道交法所管の警察庁にこの疑問をぶつけてみた。

 (1)なぜ警報機が鳴っていなくても踏切の手前で一時停止をする必要があるのか(2)なぜ、信号機が設置されている踏切の場合は、青信号のときは一時停止の必要がないのか(3)なぜ、全ての踏切を警報機から信号機に変えないのか(4)警報機が鳴っていないときの一時停止は不要と制度を変更しないのか-の4点である。だが2週間、今だに回答はない。それほど難しい問題なのか。

【プロフィル】平松庚三

 ひらまつ・こうぞう 実業家。アメリカン大学卒。ソニーを経て、アメリカン・エキスプレス副社長、AOLジャパン社長、弥生社長、ライブドア社長などを歴任。2008年から小僧com社長。他にも各種企業の社外取締役など。北海道出身。

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