「現代金融理論」思わぬ脚光 非主流が一転、米財政赤字拡大で大物も支持 (1/3ページ)

米ホワイトハウスのクドロー国家経済会議委員長「優れた成長政策においては、必ずしも財政赤字を気にする必要はない」という(AP)
米ホワイトハウスのクドロー国家経済会議委員長「優れた成長政策においては、必ずしも財政赤字を気にする必要はない」という(AP)【拡大】

  • MMTの支持を表明しているニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオコルテス米下院議員(AP)
  • MMTを「重層的な誤り」があると論評するハーバード大学教授で元財務長官のラリー・サマーズ氏(ブルームバーグ)

 過去30年ほどを振り返ると、「現代金融理論(MMT)」について無名のブロガーがあしざまに言うことはしばしばあった。だが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長やブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)といった人物が話題にすることはなかった。

 MMTを発展させた経済学者は学会でもインターネット上でもおおむね非主流派として活動してきた。しかし今や、彼らの考えはにわかに脚光を浴びている。ウォール街の大物や政策当局の重鎮がMMTについて意見することのない日はほぼ皆無で、否定的な見解が示されるのが通常だが、支持が寄せられるケースもある。

 何年も無視されてきたMMTが、なぜ今になって突如、米国の経済論議の焦点となったかをめぐっては当然、疑問が生じる。次に幾つか考えられる答えを挙げてみる。

 【既に赤字】

 MMTの論旨は、自国通貨を持つ政府の支出余地は一般的に想定されるよりも大きく、全てを税金で賄う必要はないというものだ。この見解によれば、米国はいかなる債務返済に必要な貨幣も創出できるため、デフォルト(債務不履行)に追い込まれるリスクはゼロということになる。

政府支出余地を強調

 米国は既に過去10年間にわたり公的債務を積み上げていることから、こうした主張にあまり異論はないかもしれない。公的債務は当初、グレートリセッションへの極めて正攻法的な取り組みとして、金融危機対応の中で急増した。ところが現在では、既に拡大局面にある景気をさらに加速させるために財政刺激策が講じられ、その規模は1960年代以来の大きさだ。

 このため、MMTの提唱者はこの理論について、いつの日にか採用されるかもしれない政策パッケージと見なすべきではないと指摘する。むしろ、どのような手段が政府に利用可能かを理解するための枠組みのようなものだとされる。しかも、それらの手段の一部は既に活用されている。

21世紀型懸案への解