【専欄】中国・習主席が行政経験を積んだ「正定県」、脚光浴びる (1/2ページ)

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 河北省石家荘市にある何の変哲もなさそうな一つの「県」が最近、脚光を浴びている。その名は「正定県」。習近平国家主席が初めて地方での行政経験を積んだ場所として知られるようになった。今年3月には「正定県での習近平氏」と題した本も発売されている。もう一つ、あまり知られていないのは、正定県には臨済宗発祥の寺があり、日中間の交流が長い間、続けられていることである。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 北京から南西に車で数時間走ると、こぎれいな町並みが現れてくる。人口50万人弱の正定県の中心部である。真っ先に連れて行かれたのは、習氏が1982年3月~85年5月の3年余り、この県で副書記・書記を務めていた頃の業績をまとめた展示場である。

 まず目に入ったのは、当時の習氏が地元の人々と街角で懇談している写真である。習氏は地元の隅々まで視察して回り、極端に貧しかった住民の生活改善に熱心に取り組み、成果を上げたのだという。

 トイレを写した3枚の写真があった。最初の1枚は、レンガを積み上げただけのお粗末なものだが、やがて陶器製の便器が登場し、最後の1枚は台座の付いた水洗式である。習氏は中央の指導者になってからも何回か、この県を視察に来ている。それによって特別の恩恵を受けたのであろう。

 次いで、すぐ近くの臨済寺を訪ねた。臨済宗は唐の時代に、臨済義玄がこの場所で開いた。シンボルとなっている高さ30メートル余りの「澄霊塔」はいまも健在だ。瑠璃瓦(るりがわら)の端麗な九重の塔である。

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