為替条項、恐るるに足らずか 米専門機関が新NAFTAの規定分析

 【ワシントン=塩原永久】米国際貿易委員会は20日までに、北米自由貿易協定(NAFTA)を改定した新協定に盛り込まれた「為替条項」が、加盟国の政策に及ぼす効果が「ないに等しい」との分析を示した。トランプ米政権は新協定を手本に、日本との貿易交渉でも為替条項を入れるよう求めているが、米政府の専門機関みずから同条項の実力不足を認めた格好だ。

 同委員会は、NAFTAを見直した「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の経済効果などを検証した報告書をまとめた。

 報告書は、不当な通貨切り下げを防ぐ狙いの為替条項について、為替介入の実績を報告させたり、主に報告状況を確認する委員会を年1回開いたりすることを求めているだけだと指摘。「加盟国の従来の政策に影響を及ぼす可能性は低い」とした。

 USMCAは米国が結ぶ貿易協定で初めて為替条項を挿入した。付属文書で為替に触れた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と異なり、法的拘束力が強まると期待される協定本文に規定を入れた。米政権はUSMCAを貿易協定の「ひな型」と位置づけており、ムニューシン米財務長官は対日交渉でも同条項を扱うべきだと主張している。

 一方、報告書は、USMCAの発効で米実質国内総生産(GDP)が年0・35%押し上げられ、17万6000人の雇用を創出すると試算した。ただ、部品の価格上昇で自動車が値上がりし、国内販売台数が14万台減るとの見通しも示した。