海外情勢

離れ業挑むFRBに横やり 米大統領、軟着陸より金融緩和望む

 約10年に及ぶ米景気拡大を一段と息の長いものとするため、経済のソフトランディング(軟着陸)という離れ業を成し遂げようとする米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の取り組みに、横やりが入っている。トランプ大統領は軟着陸など全く望んでいないからだ。

 トランプ大統領は3月末、ツイッターに米金融当局が「間違って利上げ」して、「ばかげたタイミング」でバランスシートを縮小させたと投稿。当局のこうした政策措置がなければ、米経済はもっと急ペースで拡大し、株価はもっと高くなっていただろうと非難した。1~3月期のS&P500種株価指数が四半期ベースで10年ぶりの大幅高となったことにも、2005年以来の高成長にもトランプ大統領は満足していないと見受けられる。

 金融当局は既に利上げを停止し、トランプ大統領の過去1年間の要求に応じた形であるだけに、大統領の発言はひときわ目を引く。財政赤字が膨らみ、ねじれ議会で新たな景気刺激策を講じるのが困難な中で、ホワイトハウスは20年の大統領選挙に間に合うよう、当局に圧力をかけて金融緩和を通じた景気てこ入れを演出したい考えだ。

 景気過熱を防ぐのに必要なだけ利上げしつつ、リセッション(景気後退)は回避するソフトランディングは、これまでも決して容易でなかった。米金融当局が経済を軟着陸させることができたのは生産性の向上にも助けられて01年までの景気拡大を果たした1994~95年だけといってよいだろう。

 ドイチェ・バンク・セキュリティーズのチーフエコノミストを務めるピーター・フーパー氏は、大統領の攻撃によって「金融当局の政策運営は一層難しくなるだろう」と指摘。金融当局が政権からの圧力に屈していると受け止められれば、中央銀行としての政治的独立性に疑問を投げかけることになり、「問題だ」と語った。(ブルームバーグ Rich Miller)

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