海外情勢

米中逆転の予想は非現実的 経済長期展望「既知の事実」に限界 (2/2ページ)

 深い憂慮の裏返し

 だからといって米中逆転が全くあり得ないというわけではない。実際に購買力平価(PPP)に基づくと中国の経済規模は既に世界一だ(PPPとはつまり、同じ所得では中国の方が米国より豊かな暮らしができるという事実を調整する手段だ)。

 そして経済規模の計測に大きな影響を与えるのが為替相場だ。1990年代半ばに1ドル=80円程度まで円高が進んだことが、日本経済を途方もなく大きく見せた一因だ。その上、最近の中国GDP公式統計は、ブルッキングス研究所の論文が言うほどいいかげんではないという見方もある。

 最も重要な点は、こうした数字は壮大な戦略予測を立てる上で、十分に堅固な基盤にはならないということだ。現時点で見ても、世界経済に占める中国の割合はわずか15%で、市場の為替レートを基にすれば予見し得る将来においてその割合が20%を超える可能性は小さい。

 実際のところ、長期的な経済予測の調整に気をもむことは、欧米の民主主義が壊れつつある一方で、中国やブラジル、ロシア、トルコといった国々で強権的な政権が自信を強めていることへの深い憂慮の裏返しにすぎない。リベラルな国際秩序が次世紀まで続くことを確実にしようと望むのであれば、想像上の未来の迫りつつある運命にこだわるよりも、今現在のリアルな問題に焦点を絞った方がずっといい。(ブルームバーグ David Fickling)

 (デービッド・フィックリング氏は商品および工業・消費者向け製品企業を担当するブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。同氏はブルームバーグ・ニュースやダウ・ジョーンズ、ウォールストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズ、ガーディアンで記者をしてきました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

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