国内

G20皮切りの農相会議開幕 従事者高齢化や「食品ロス」議論

 日本が初の議長国を務めるG20の関係閣僚会議の皮切りにあたる農相会議が11日、新潟市で始まった。農業従事者の高齢化や就農者の確保といった問題に加え、食べ物が無駄に捨てられる「食品ロス」などの課題について議論する。会議にはG20メンバーのほか、タイやチリ、国連食糧農業機関(FAO)などの34の国や機関が参加。12日に課題の解決を目指す閣僚宣言を発表する。

 吉川貴盛農林水産相は11日、記者団に対し、「農業の生産性の向上や農家の収益向上、気候変動など各国の共通課題に対して直接解決策を探る機会だ」と意義を強調した。

 今回の農相会議では、分野ごとに議論する「分科会」制度を初めて導入した。日本は、次世代の農業を担う人づくりと新技術の分野で議長国となり、各国の意見を集約した。

 日本はこのなかで、日本の65歳以上の農業従事者が全体の66・4%に達するなど、先進国で高齢化問題の深刻化が進んでいることを指摘。労働力不足を補い効率化につながる無人トラクターやドローンを使った農薬散布など、日本での先進事例を紹介した。吉川氏は「技術の普及には女性活躍なども含め、人材育成が急務だ」と述べた。

 別の分科会では年間に生産された食料の3分の1となる13億トンが破棄されている現状や、先進国で肥満や糖尿病が問題となっていることなどが取り上げられた。

 「イノベーションと農業」をテーマにした関連イベントでは、パーデュー米農務長官が基調講演し、世界人口の増加に対応した食料増産が課題だと指摘。「日本が得意な技術革新、創意工夫を農業分野にもっといかしてほしい」と話した。さらに農業関連市場の拡大の必要性にも言及し、「各国が全ての人々に食料を渡す覚悟を共有してほしい」とも話した。

 日本は12日には中国、韓国などとの2国間会談も行う予定。吉川氏は11日のパーデュー氏との会談同様、東電福島第1原発事故後に導入された農産物の輸入規制の撤廃や緩和を求める見込みだ。(飯田耕司)

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