海外情勢

中国副首相「原則的な問題、譲歩せぬ」 交渉決裂は否定

 【北京=西見由章】中国の劉鶴副首相は10日に米ワシントンで行われた閣僚級貿易協議に出席後、「交渉は決して決裂していない」と述べ、今後北京で協議を再開することで双方が一致したと明らかにした。一方で「原則的な問題については絶対に譲歩しない」と強調した。一部中国メディアの取材に応じた。

 中国国営中央テレビなどによると、劉氏はワシントンでの協議について「率直で建設的な意見交換をした」と言及。交渉において曲折が生じるのは避けられないとし、妥結に向けては「注意深く楽観している」と述べた。

 トランプ米政権が10日に実施した年2千億ドル(約22兆円)分の中国産品に対する追加関税率引き上げについては「強烈に反対する」と改めて批判する一方、中国側が発動方針を示した報復措置の具体的な内容には触れなかった。

 劉氏は米中間の主な相違点について(1)双方が発動した追加関税をすべて撤回するかどうか(2)中国が購入を約束する米産品の数量(3)合意文書の公平性-の3点だと説明。中国がすでに約束した合意から後退したとの米側の非難については「妥結の前に(主張の)変化があるのは自然であり、必然的に起きることだ」と反論し、「後退」ではないと主張した。ただ、中国側がより強硬な交渉姿勢に転じたことを事実上認めた形だ。

 劉氏は貿易協議が最終局面にあるとの認識を示し「マラソンと同様に最後は苦しいが、夜明け前の暗闇を乗り越えなければならない」と語った。

 一方、中国共産党機関紙、人民日報は11日付の論評で、中国側が「最大の誠意」をもって貿易協議に臨んでいるとしつつ「米側の極限的な圧力には決して屈せず、原則的な問題は妥協しない」と主張した。

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