社説で経済を読む

令和時代、米中貿易戦争で暗雲 (1/2ページ)

 令和の日本経済が本格始動した10連休明けの7日、東京株式市場はいきなり終値で335円も下げる大幅安に見舞われた。(産経新聞客員論説委員・五十嵐徹)

 トランプ米大統領が5日、自身のツイッターで中国に対する追加関税の引き上げを宣言したことが背景にある。上海市場はもちろん、欧米の主要市場も例外なく下げ、さながら世界同時株安の様相を呈した。

 これを受けて、8日付各紙社説には「米中の景気を下押しするだけでなく、世界の経済や市場も揺さぶりかねない行為である」(日経)と米側の強硬姿勢を批判する論調が目立った。

 朝日は「小康状態にあった米国と中国の貿易紛争に、これでは油を注ぐようなものだ」と語気を強め、毎日も「影響は極めて深刻」「世界経済を人質に取るような脅しではなく、対話で解決すべきだ」とトランプ政権に強く自重を求めた。

根本原因は中国側に

 だが忘れてならないのは、根本原因は何かということだ。急ピッチの軍備拡大を進める一方、経済領域でも覇権意識をむき出しにする中国側のふるまいである。

 トランプ発言について産経の主張(社説)は「関税を武器とする手法を対日交渉でも使いかねない危うさもはらむ」と警戒しつつも、「中国の不当な貿易慣行を改めさせるための強硬策である」との見方を示している。妥当な見方だろう。

 日経は「もちろん中国の責任も大きい」と指摘し、「知財(知的財産権)の侵害や技術移転の強要は悪質で、国有企業に巨額の補助金を投じるといった産業政策の問題も見過ごせない。米国に次ぐ世界第2位の経済大国には、こうした行動を改める義務がある」といさめた。しかし、肝心の中国側にその自覚がうかがえないのは、これまでの交渉過程などからも明らかだ。

 習近平国家主席は昨年12月の米中首脳会談で、知財保護や国有企業への優遇策見直しを約束したにもかかわらず、3月1日の期限を延長しても、米側を納得させることはできずにいる。

 先月末から北京で行われた閣僚級協議では、米国側から「生産的だった」と評価する声も聞かれたことで、合意に向けて最終段階に入ったとの見方も出た。

 しかし、米メディアによれば、中国側はその後、いったん受け入れたはずの合意事項を撤回したという。それに対する米側の反発が、今回のトランプ発言になったというわけだ。

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