海外情勢

ハイテク特許、米に陰り 中国が出願シェア侵食、覇権脅かす (1/2ページ)

 ハイテク技術の開発で世界首位を維持してきた米国が、人工知能(AI)や仮想通貨の基礎技術であるブロックチェーン(分散型台帳)などの最新分野の特許出願で中国などに対する優位性を失いつつあることが、米調査会社などの分析で明らかになった。専門家は、米国の技術的覇権が脅かされていると警告している。

IoT関連で顕著

 米法律事務所キルパトリック・タウンゼント&ストックトンと調査会社グレイBサービシズが26日までにまとめた2007~18年の米国特許商標庁への出願に対する報告書によると、米国での特許出願で米国からの出願はなお最大の割合を占めているものの、ハイテク分野での比率は低下している。

 18年のAI関連の特許出願に占める米国の割合は66%と、07年の78%から低下。金融技術は82%から75%未満に低下した。

 ハイテク分野の特許出願で米国の下落が特に目立ったのはモノのインターネット(IoT)関連だ。IoT分野の世界全体の特許出願数は飛躍的に増加しており、07年の5000件から18年には1万8000件以上に増加した。このうち米国の昨年の構成比は10年前に比べ7ポイント低い59%となった。米国を尻目に、中国と韓国が急増した。

 報告書の執筆者らは、米国が携帯電話やIoT、AIのような分野でハイテクの本場としての優位性を損なう恐れがあると指摘する。

 キルパトリックの特許専門弁護士で執筆者の一人であるケート・ガウドリー氏は「米国も出願を増やしているが、中国などの出願ペースは米国を上回っている」「多くのハイテク分野やソフトウエア分野では、米国の貢献度の低下が見られる」などと説明した。

 今回の分析結果の発表は、米国が新たな対中制裁関税を表明し、米中貿易交渉が困難な局面に入ったタイミングと重なった。米政権は中国が米国のノウハウを盗んでいると批判しており、中国との貿易交渉で同国に進出する米企業に専門技術などの開示を強要する政策を取りやめるよう要求している。

 中国による特許出願数が増加しており、同国企業も独自技術の開発を加速していることがうかがえる。中国政府は長期成長戦略「中国製造2025」の下、主要技術の研究に多額の投資を行い、ハイテク分野での存在感を高めている。

 米調査機関の情報技術イノベーション財団(ITIF)のロバート・アトキンソン代表は「米国に必要なのは中国のような一貫したイノベーション政策だ。今回の報告書は警告だ。米国は現在の栄光に安住しているという非常に重要なメッセージを送っている」と警鐘を鳴らした。

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