高論卓説

中国はイノベーション吸収停止を懸念 「米中テック冷戦」覇権争い本格化 (1/3ページ)

 「世界トップの経済大国である米国は深センのハイテク企業をこんなにも恐れているか」 このように米国を皮肉った記事が中国で増えている。昨年勃発した米中貿易戦争が、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)をはじめとする中国広東省深セン市のハイテク企業と、米国との戦いに変容してきているためだ。その渦中にあるファーウェイに対する米国からの攻撃行動は後を絶たず、米中対立をめぐる懸念は高まっている。

 世界1位と2位の経済規模を誇る米中両国の対立は避けられないのか。歴史上、覇権国家と新興国家がぶつかり合い、「トゥキディデスの罠(わな)」に陥って戦争が起きた前例がある。また、『大国の興亡』の著者である歴史家のポール・ケネディ氏や、『大国政治の悲劇-米中は必ず衝突する』を出版した政治学者のジョン・ミアシャイマー氏などは自らの著作を通じ、米中対立は歴史の必然であるとの考えを示している。

 中国社会科学院米国研究所元副所長の陶文●(●=刊の干を金に)氏の言葉を借りると、中国側は「米国の対中政策は国交回復後40年間で最も深刻な調整過程にある」との認識を持つようになっている。西側諸国の保護貿易主義やポピュリズムの台頭を懸念しつつ、中国側の対応にも変化が見られる。昨年春には、歴史に残るような貿易戦争に対抗する論調がメインだったが、米国と冷静に対話して関係改善を求めるべきだという声が次第に増していった。

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