成長戦略

70歳までの就業機会確保を努力義務、デジタル市場のルール整備 未来投資会議が素案提示

 政府は5日の未来投資会議で新たな成長戦略の素案を示した。少子高齢化で働き手が減る中、希望する人が70歳まで働き続ける環境を整えるほか、兼業や副業を後押しする。デジタル市場のルール整備も進める。また地方の活力維持に向け、人口減で体力の乏しい地方銀行とバス事業者の再編を促すために独占禁止法の適用に例外を認める。

 今月下旬の閣議決定を目指す。会議で安倍晋三首相は「成長戦略こそ『アベノミクス』のエンジン。これまでの発想にとらわれない大胆な政策をスピーディーに実行に移していかなければならない」と述べた。

 「人生100年時代」を見据え、70歳までの就業機会の確保に向け、定年の廃止や延長など従来の選択肢に、他企業への再就職や起業支援などを加え、働く場を拡大。高年齢者雇用安定法改正案を来年の通常国会に提出し、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする。その後の状況を踏まえ義務化も考える。

 兼業や副業については、本業へのやる気や意識を高めるなどの効果もみられると指摘。労働時間や健康管理での課題を整理しつつ拡大や定着を図るとした。

 中途採用や経験者採用の促進のほか、大企業に根強い新卒一括採用の見直しを図るとし、政府が大企業に中途採用や経験者採用に関する情報公開を求める。

 デジタル市場では、「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業が事業領域を拡大。政府は省庁横断的に対応する専門組織を夏までに設け、デジタル市場の競争状況の評価やルールづくりなどを行う。デジタル市場の取引慣行などの透明性や公正性を確保するため、来年の通常国会に関連法案を提出する。

 タクシーの相乗りを地域や要件を限定せずに導入する。道路運送法上の通達を改正し、来年の東京五輪までの相乗り実現を目指す。

 地方施策では、地銀とバスに当面限定し、弱体化して地域サービスに支障を来す恐れがある場合、一定の要件を満たせばシェアが高くなっても地銀の経営統合やバスの共同経営を独禁法の適用の例外として認めるようにし、そのための特例法を設ける。ただ、10年間の時限措置とする。

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