G20

財務相会議閉幕 世界経済のリスクに「さらなる行動」 デジタル課税の作業計画も承認

 日本が初めて議長国を務め、福岡市で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が9日、共同声明を採択して閉幕した。声明では、米国と中国を念頭に貿易摩擦を世界経済の大きなリスク要因とし、「対処し続けるとともに、さらなる行動をとる用意がある」とした。

 また、「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米巨大IT企業など国際的な課税逃れを防ぐ「デジタル課税」に関し、2020年1月に大枠合意するとした経済協力開発機構(OECD)の作業計画を承認。

 さらに、新興国への過剰な貸し付けが批判される中国を念頭に、借り手の返済能力に配慮した「質の高いインフラ投資」の国際原則でも合意した。

 共同声明では世界経済の成長について、緩和的な金融環境の継続やいくつかの国での景気刺激策の効果で、「今年後半および20年に向けて、緩やかに上向く」と指摘。ただ、「リスクは依然として下方に傾いている。何よりも、貿易と地政をめぐる緊張は増大してきた」とし、「下方リスクから守るため全ての政策手段を用いる」とした。麻生太郎財務相は閉幕後の記者会見でこれらのリスクに関し、「米中貿易(の問題)があったり、地政面では中国が出てきたりしている」と話した。

 また、貿易摩擦をめぐっては、貿易収支だけでなく、サービス収支や所得収支を含む「『経常収支』の全ての構成要素に着目する必要がある」と訴えた。

 デジタル課税に絡んでは、GAFAなどが巨額の収益を挙げているにもかかわらず、各国に法人税を納めていないことを念頭に、「公正、持続可能かつ現代的な国際課税システムのための協力を継続する」と強調。途上国のインフラ建設に関しては、中国による過剰な貸し付けが問題になっていることを念頭に、「債務の透明性を向上し、持続可能性を確保するための協働の重要性を再確認する」とした。

 世界的に進む高齢化に関する課題に対しても、財政・金融政策や構造改革など、広い分野での政策行動が必要とした。

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