山本隆三の快刀乱麻

排出枠需要高まり価格上昇 混乱続くEU離脱、英企業困惑 (1/4ページ)

 3月29日に設定されていた英国のEU(欧州連合)離脱(ブレグジット)期限は最長10月31日まで延長されたものの、先行きは相変わらず不透明だ。混乱が続くブレグジットに関連して英国ではさまざまな出来事が報告され、物騒な話も増えている。ブレグジットの熱心な支持者が、英国最大野党・労働党などの議員に脅迫メールを送りつけ逮捕されたとの報道もあった。(山本隆三)

 今までの手法使えず

 報道では、脅迫メールの一部が伏せ字になっているため正確な文面は不明だが、ブレグジットに関連してアフリカ系議員に「ジャングルに帰れ」、他の議員に「死ぬのはノビチョク(ロシア製神経剤)あるいはポロニウムか?」などとつづったeメールを、プーチン露大統領を模した偽メールアドレスから送った男が、IPアドレスから割り出され逮捕された。4月上旬には判決が下り、42週間の禁錮刑に処せられた。

 混迷と対立が深まるブレグジットだが、世論調査では2016年6月の国民投票以降、ブレグジット賛成派が減少し、EU残留派が増えている。国民投票では離脱賛成が51.9%、反対が48.1%で、その差は3.8ポイントだった。しかし、英大手世論調査会社YouGovによると、17年夏にはその差がなくなり、同年秋には離脱反対が上回るようになった。その後も調査ごとに反対派が増え、今年初めの調査では反対派が8~10ポイント上回っている。

 今年2月に訪英し、ブレグジットが英国のエネルギー政策にもたらす影響について離脱派、残留派と面談し、意見を聞いた。その中で国民投票の再実施についても尋ねたが、離脱派はもちろん残留派も再実施に否定的だった。結果にかかわらず、混乱が深まる可能性があるとの判断だ。

 ブレグジットをめぐり、企業が困惑するケースも出てきた。英国第2位の鉄鋼会社ブリティッシュ・スチール(BS)が、EUの排出量取引制度(EU ETS)の義務を果たすための資金調達ができず、英国政府に1億ポンド(約145億円)の融資を依頼する事態になった。こうしたケースは氷山の一角とみられている。

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