高論卓説

忠誠対象は中国か市民か、統治の難所 香港警察が抱える「2人のボス」 (1/3ページ)

 ミュージシャンのYOSHIKIが、香港のスター、ジャッキー・チェンと休暇中の台湾で食事を共にした写真をSNSで投稿したところ、香港、台湾から厳しい批判が集まった。ジャッキー・チェンは香港の親中派の代表格であり、今回、香港警察による過剰な暴力が問題になった逃亡犯条例改正の反対デモについてメディアに問われて「知らない」と語り、デモ支持者に不評を買っている最中だったからだ。

 YOSHIKIの投稿は責められない気もするが、ジャッキー・チェンの今日の境遇は皮肉としか言いようがない。その彼こそ、代表作「ポリス・ストーリー/香港国際警察」で、香港警察の名を世界に広げた象徴的な人物だったからだ。

 1970年代以前の香港警察の腐敗は深刻で市民の評判は最悪だったが改革に励み、イメージは急激に回復した。80年代に撮られたこの作品でもジャッキー・チェン演じる主役警官が警察のイメージPRに懸命に励む様子を描いている。その後の人気作「インファナル・アフェア」シリーズなど警察モノ映画でも志と魂を失わない警官が活躍する設定だった。

 しかし、2014年のデモで催涙ガスを使った鎮圧は雨傘運動という名称を歴史に残し、香港警察は再び嫌われ者に転落。今回、彼らが撃った催涙ガス弾は合計で150発。雨傘運動のほぼ倍に達する。マスタードガンやビーンバッグ弾(威力の弱い散弾銃)なども使い、香港警察のイメージは最悪状態に逆戻りするだろう。

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