国内

G20サミット 質の高いインフラ投資原則 初の承認へ 過剰融資の中国牽制

 28、29日に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、8、9日に福岡市で開催された財務相・中央銀行総裁会議に続き、インフラ事業の融資を受ける国の返済能力に配慮することなどを求めた「質の高いインフラ投資」に関する国際原則を初めて承認する見通しだ。過剰な貸し付けで途上国を返済不能に陥らせている中国を、国際社会で牽制(けんせい)する姿勢を打ち出す。

 財務相会議で採択された原則に盛り込まれたのは(1)持続可能な成長(2)経済性(3)環境への配慮(4)自然災害などへの強靱(きょうじん)性(5)社会への配慮(6)ガバナンス-の6項目。日本が重視していた、借り手の返済能力に配慮する「債務の持続可能性」や調達手続きの「透明性」は(6)に、インフラをだれもが利用できるなどの「開放性」は(5)、(6)に、それぞれ明記された。

 原則をまとめたのは「質の高いインフラの明確なイメージを作る」(財務省の浅川雅嗣(まさつぐ)財務官)ためだ。念頭にあるのは、巨大経済圏構想「一帯一路」などを通じた中国の覇権主義的なインフラ投資戦略。借りた資金を中国に返せず、“借金のカタ”にインフラを奪われる例も出ており、2017年には、港湾の整備資金を返せなくなったスリランカが、港湾の運営権を中国国有企業に譲渡した。

 一方、世界銀行と国際通貨基金(IMF)の分析では、低所得国の破綻リスクを分析しリスクの度合いを4段階で評価したところ、リスクの度合いが上位2つに入る国の比率は14年に計21%だったが、18年には計42%まで倍増した。

 背景には、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が15年12月に発足し、新興国でのインフラ融資事業を拡大したことなどがあるとみられる。

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