経済インサイド

親日国バングラデシュに熱視線 米中貿易摩擦も追い風 (3/3ページ)

 5月29日の安倍首相とハシナ首相との首脳会談では、ベンガル湾周辺で進める商業港の建設など、インフラ整備へ計約1326億円の円借款供与を表明した。国別円借款の融資実績は、14年度以降は毎年、1000億円を上回る規模で、18年度は2003億円にのぼり、インドに次ぐ第2位という重点国だ。

 今後もダッカメトロ1号線や5号線など日本が技術優位を持つ鉄道などインフラ整備計画がめじろ押し。しかも、「競争入札にもかかわらず、技術への信頼から日本企業の受注率が8割と圧倒的で、日本企業の商機は大きい」と政府関係者は期待する。

 すでに住友商事などが、高効率石炭火力を受注したほか、同国初の都市鉄道のMRT6号線をめぐり、三菱商事と川崎重工業が鉄道車両や車両基地設備を、丸紅なども鉄道システムを一括受注している。

 とはいえ、手続きの煩雑さや税制優遇の還付がなかなか受けられないなど、進出日系企業の不満も少なくない。政府と東京商工会議所の日本・バングラデシュ経済委員会などは今年7月にも、「官民合同経済対話」をダッカで開催し、投資環境の改善にも取り組む方針で、バングラ側の投資誘致に向けた本気度も試されている。(産経新聞経済本部 上原すみ子)

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