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中国共産党の「初心と使命」

 7月1日は中国共産党の創立記念日で、2年後の2021年には創立100年を迎える。また、共産党の中国は今年10月には70年になる。そうした節目を前に、今、党内で「初心を忘れず使命を心に刻む」キャンペーンが展開されている。(元滋賀県立大学教授・荒井利明)

 党組織部は創立記念日の前日、これまでと同じく、前年末の時点での党に関する統計データを発表した。それによると、18年末の党員数は初めて9000万を超えて9059万人に達した。習近平は量より質を重視して党員の増加を抑制しているが、9000万を超える党員がみな「合格党員」であるはずはない。

 中国共産党は折に触れて党員の思想や仕事ぶりなどを正す運動を行っており、6月に始まった今回のキャンペーンもそうした運動の一つである。17年秋に開かれた第19回党大会で既に予告されていたものでもある。

 このキャンペーンのテーマである「初心を忘れず使命を心に刻む」について、習近平は5月末の演説で、「中国人民のために幸福を、中華民族のために復興を図る」ことが党員の初心であり、使命であると語っている。

 習近平はその上で「党内の突出した問題」の多くは党員の思想問題に起因すると指摘し、党の指導思想である「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想(習近平の思想)」を深く学習することが、この運動における党員の任務だと述べている。

 習近平はまた、6月下旬の演説では「いかにして人民の擁護と支持を永遠に得るか、いかにして長期の政権担当を実現するか」が根本的な問題であり、それにしっかりと答えなければならないと述べ、「政権担当が長くなるほど、初心と使命を忘れてはならない」と強調している。

 ソ連の解体はその成立から69年後のことである。共産党の中国は既にそれを超えた。習近平は6月下旬の演説で、前任の総書記、胡錦濤が11年に提起した「四つの危険」(精神怠慢、能力不足、大衆からの遊離、腐敗などの危険)は依然として深刻であると指摘した上で、「党の指導を弱体化し、党の政権基盤を揺るがすあらゆるもの」と闘うよう、党員、とりわけ指導的幹部に呼びかけている。

 習近平は12年秋に総書記に就任して以降しばしば、ソ連の解体から教訓を得るよう求めている。「初心と使命」のキャンペーンは、自己の権威と権力の強化とともに、共産党のサバイバルを狙ったものである。(敬称略)

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