国内

対韓規制強化1週間 宙に浮く輸出、企業混乱

 政府が韓国に対する半導体材料などとして使われる3品目の輸出規制強化を発動してから11日で1週間がたった。フッ化水素やフッ化ポリイミド、レジストを生産する日本企業の間では韓国向け輸出の準備作業などで混乱が継続。韓国での生産能力を向上させる計画が宙に浮く可能性も出ている。日本政府は規制強化の安全保障上の必要性を繰り返しているが、韓国との隔たりは大きく、早期解決への道筋は見えていない。

 ステラケミファは11日、フッ化水素について、政府に対する輸出申請を一部始めたことを明らかにした。ただし先行きについては「国の審査期間がどの程度に及ぶかにもよるため見通せない」と説明。同じくフッ化水素メーカーの森田化学工業も「申請書類の量が膨大で作業が追いついておらず準備中」としている。

 一方、一部では生産計画に揺らぎが生じるおそれもくすぶっている。東京応化工業によると、規制対象となっているレジストは半導体の最先端の製造工程に用いられる高機能品。韓国メーカーはこうしたレジストを使った製品の量産を視野に入れており、東京応化もそれにあわせた韓国での生産能力増強を想定している。

 現段階では輸出規制強化による影響は大きくないとみられているが、韓国メーカーの量産化が先送りされれば、東京応化の計画にも影響が及ぶことは避けられない。さらに韓国政府が改善案を示さなければ、対象が量産品に広がったり、輸出自体が認められない可能性も残る。

 今回、対象となった3品目はいずれも半導体や有機ELパネルの製造に欠かせず、日本メーカーが高いシェアを握る。フッ化水素は半導体の洗浄などに用いられ、レジストは半導体の基板表面に回路を刻む際に塗る感光剤として使われる。

 各社には日本以外の製造拠点から韓国に輸出する方法も残されている。ただ、ステラケミファはシンガポールの製造拠点について、「日本の拠点と比べて9分の1程度の製造能力しかないため、現在の輸出量をまかなえるレベルにはない」(担当者)とし、あくまで日本から輸出する道を模索する考えだ。

 日韓経済は貿易や企業進出などで深く結びついている。韓国の輸出品の管理に端を発した企業活動の混乱は今後も波紋を広げるおそれがある。(井田通人、林佳代子)

 ■日本と韓国の経済関係

 (国・地域別の順位)

 ・輸出

  5兆8000億円 3位

 ・輸入

  3兆5500億円 5位

 ・訪日者数

  754万人 2位

 ・訪韓者数

  231万人 3位

 ・進出日系企業数 393社、715拠点

 (注)輸出、輸入は2018年、財務省貿易統計から。訪日者数は18年、訪韓者数は17年で、日本政府観光局資料から。進出日系企業数は東京商工リサーチの17年5月発表資料から

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