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デジタル課税、新たな規則必要との認識で一致 G7財務相

 【シャンティイ(フランス)=板東和正】日米欧の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が18日閉幕し、フランスが議長総括を公表した。IT大手への「デジタル課税」について新たな規則を開発すべきだとの認識を示し、法人税の最低税率が公平な税負担を確保すると表明した。ただ、米仏対立の火種はくすぶっており、足並みの乱れも不安視される。

 会議は17日にパリ近郊シャンティイで開幕し、18日に2日間の日程を終えた。フランスは閉幕後、ITなどの高度に電子化されたビジネスモデルに対応するために課税の新たなルールを開発する必要があるとの議長総括を発表した。国家間の税率引き下げ競争を防ぐための最低税率について、企業の公平な税負担を確保するものになるとの見方でも一致したという。

 ただ、フランスで11日に成立したデジタル課税をめぐっては、巨大IT企業を抱える米国が課税が不当かどうかの調査を実施。ムニューシン米財務長官は18日、G7会議の閉幕後に記者会見し、フランスのデジタル課税について、17日のルメール仏経済・財務相との会談で課税対象が米企業に偏っていると懸念を伝えたことを明らかにした。

 G7会議に出席した麻生太郎財務相によると、フランスが米国などから名指しで糾弾される場面はなかったが、課税方法をめぐる「議論は込み入っている」(ルメール氏)状況だ。デジタル課税は経済協力開発機構(OECD)での国際的議論で2020年までの最終合意を目指しているが、いまだ着地点は見えていない。

 一方、フランスは米交流サイト大手フェイスブック(FB)が発行を計画する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」についても議長総括を公表。リブラは金融システムに対する深刻な懸念を引き起こすと指摘し、最高水準の規制を満たす必要があるとの認識を示した。

 またリブラの計画が国家の通貨主権に影響を与えうるとの認識でも合意。麻生氏は閉幕後の記者会見でリブラについて「20カ国・地域(G20)や金融安定理事会(FSB)と連携して議論する道筋をつけることができた」と評価した。

 議長総括によると、6月に設置された各国中銀の専門家による仮想通貨の作業部会が10月までに最終報告をまとめるという。

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