海外情勢

水力発電、気候変動の影 干魃・豪雨で供給力激変 計画見直し迫られる (1/2ページ)

 地球温暖化による気候変動が世界各地の水力発電に深刻な影響を与え始めた。猛暑による干魃(かんばつ)や集中豪雨で水力発電の元となる河川水量が不安定になり、電力各社は発電計画の見直しを迫られている。

 1700万人が暗闇生活

 アフリカ大陸南部、ジンバブエとザンビアの国境を流れるザンベジ川をせき止めて造られた世界最大級のカリバダムの水力発電所。両国に安定した電力を供給してきたが、同地域が干魃に見舞われたことにより、ザンベジ川の流量は昨年の3分の1に減少。深刻な電力不足に伴い、ザンビアの国営電力会社は5月に計画停電に踏み切った。これにより、人口1700万人以上が暗闇の中で過ごすことを余儀なくされた。

 気候変動が水力発電に与える影響を研究するエネルギーアドバイザー、ランドール・スポルディングフェッカー氏は「カリバダムはジンバブエとザンビアにとって必要不可欠だ。問題は、将来の発電が従来のようには立ち行かない可能性があるということだ」と話した。

 これまで世界の河川は季節的な流量変化を繰り返してきたが、気候変動により変動リズムを失い、世界各地の水力発電の信頼性を低下させている。ブラジルでは2015年に記録的な干魃による大規模停電が発生。米カリフォルニア州では水力発電の発電量は毎年激しく変動している。さらに欧州では、スペイン電力大手イベルドローラの水力発電量が16年に過去最高を記録した後、翌年に57%減となった。

 こうした発電量の大幅な変動は、特に水力発電に依存する地域にとって重大な問題となる。電力供給の安定を求める声が高まっている。

 ウィスコンシン大学ミルウォーキー校の淡水科学学部のジェニー・ケール教授は「今後水力発電の効果が弱まる。水量の減少に伴い発電量も減少するためだ」と指摘した。

 水循環の変化は豪雨や洪水といった形でも現れている。米カリフォルニア州のオロビルダムは17年、豪雨の影響で水位が上昇し、放水路が一部損壊。決壊の危険性が高まったため、下流地域に住む約20万人の住民が避難を余儀なくされた。

 オロビルダムなどの事故を受け、電力会社などに対してダムの構造強化に向けた投資拡大を求める圧力が強まっている。ノルウェー国営電力スタットクラフトはダムの補強のため、過去10年で投資を2倍以上に拡大。同社は25年までに水力発電所の維持管理および改修に15億クローネ(約190億円)を投資する計画だ。

 ドイツの独立系資産運用会社のアキラ・キャピタルは水力発電の不安定性を念頭に、水力発電部門の投資運用の意思決定に際し、気候変動を重視。同社は現在、ダム建設への投資前の調査として、降水パターンの変動に関する独自調査を少なくとも2件依頼している。

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