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消費税増税へ駆け込み懸念 歳出圧力強まる可能性  (1/2ページ)

 参院選の与党勝利により、10月の消費税増税はほぼ確実となった。政府関係者が注視しているのが消費の動向だ。前回、平成26年4月に8%に増税した際は大きな駆け込み需要が発生し、その反動で増税後の消費が落ち込み、経済が低迷するきっかけとなった。米中貿易摩擦などで世界経済の先行きも不透明となる中、安倍晋三首相は臨機応変に追加経済対策を打ち出す意向を示しており、今後本格化する令和2年度の予算編成で歳出圧力が強まる可能性がある。

 前回の消費税増税で生じた消費の変動は、実質国内総生産(GDP)の個人消費を見れば明らかだ。増税直前の26年1~3月期は、306兆238億円と前期比2%増の大幅な伸びとなった一方、増税後の4~6月期は4・7%減の291兆5263億円と大きく落ち込んでいる。

 大和総研の小林俊介シニアエコノミストは当時と今を比較し「住宅など一部で駆け込みとみられる動きがあるものの、前回に比べれば小幅だ」と語る。GDPの住宅投資を見ても昨年後半から1%前後の増加傾向が続いているが、3%台の増加がみられた前回と比べれば限定的だ。小林氏は「政府の増税対策が効いている」と分析する。

 急激な消費の変動が経済を冷え込ませた反省から、政府は今回の増税では、駆け込み需要と反動減を可能な限り減らす「平準化対策」に力を入れている。具体的にはキャッシュレス決済に伴うポイント還元や、住宅ローン減税の拡充などで、増税で増える負担をポイントや税額の控除で和らげ、増税前に慌てて購入しなくても、損をしない対策が講じられているのだ。

 ただ、駆け込み需要は増税が近づくほど増えるとされ、今後、消費が加速する可能性はある。実際、電通が昨年12月に男女1万人を対象に行った調査では、67・1%が増税前の購入を「何かしら検討している」と回答した。

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