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もたつく景気回復、地方経済が鍵 (1/2ページ)

 中国では、景気回復がもたついている。とりわけ、昨年までのデレバレッジ(与信や債務の抑制)政策の影響が残り、地方経済が低迷している。内モンゴル自治区や吉林省、天津市、重慶市の経済成長率は2016年の半分程度だ。もっとも、政策による下支えで、今後景気はいったん持ち直すと見込まれる。インフラ投資、民間企業の設備投資、自動車販売の持ち直しが期待される。(日本総合研究所・関辰一)

 デレバレッジ悪影響

 中国景気は、外需の低迷が続いているほか、内需の回復にも遅れがみられる。輸出は米国による関税引き上げなどにより、増勢が鈍化。底入れの兆しがみられた固定資産投資の増勢も足元でやや鈍化している。自動車市場の不振も続いている。昨年までのデレバレッジ政策の影響が根強く残っているからだ。

 デレバレッジ政策の柱となったのは、銀行への金融規制強化と地方財政への監督強化の2つであった。銀行による簿外取引(いわゆるシャドーバンキング=影の銀行)の縮小や地方での野放図なインフラ投資の見直しによって、与信と債務の急拡大に歯止めがかかった一方、地下鉄や空港、高速道路など数多くのインフラ整備プロジェクトが停止し、多くの民間企業も深刻な資金繰り難に陥った。

 とりわけ、地方経済が厳しい。インフラ投資への依存度の低い広東や江蘇、浙江各省の経済成長率は小幅低下にとどまる一方、依存度の高い内モンゴル自治区や吉林省、天津市、重慶市の経済成長率は急落した後、低水準が続いている(図)。

 こうした地方経済の低迷が、個人消費の重しになっている。自動車販売をみても、沿海部大都市でのシェアが高い日本車は堅調である一方、内陸部中小都市で高いシェアを持つ中国ブランド車は前年を大きく下回っている。なお、米国ブランドも緊張した米中関係が続くなか不振が続く。

 もちろん、弱い動きばかりではない。政府の景気対策によって鉄道投資やスマートフォンなどの情報通信機械の需要が拡大している。しかし、デレバレッジ政策のマイナス影響が想定以上に根強く残っているため、景気押し上げ効果がストレートに表れていないのが現状だ。

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