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もたつく景気回復、地方経済が鍵 (2/2ページ)

 成長率は持ち直しへ

 今後を展望すると、政府が本気で景気対策に乗り出しているため、成長率は早晩持ち直すと見込まれる。

 まず、政府が投資抑制策の手綱を緩めたため、年後半にインフラ投資が持ち直すとみられる。政府は銀行に対して簿外取引の縮小の期限を延長したほか、地方でインフラ整備を担う「地方融資平台」の融資需要に応えるよう要請するなど、金融規制・監督を緩和する方向へ修正した。地方政府に対しても、地方債発行によるインフラ整備を進めるよう通知した。今後、金融機関による地方債引き受けの拡大で、地方政府の資金繰り難は和らぐとみられる。

 民間企業の設備投資も、政府の投資促進策を受けて回復に向かう見通しである。政府は春以降にハイテク製造業向けの補助金導入や優遇税制を表明した。例えば、重慶市政府は4月、産学官によるハイテク製造業プロジェクト(製造業創新中心)に対して最大2000万元(約3億1300万円)の補助金を3年間支給すると発表した。さらに中国政府は、集積回路(IC)とソフトウエア産業に対する企業所得税の減免を決定。商用第5世代(5G)移動通信システムのライセンス交付も前倒しした。こうした政策による景気下支え効果が今後顕在化すると見込まれる。

 自動車販売も、地方経済の回復や販売てこ入れ策を受けて持ち直しに転じるとみられる。追加の自動車販売てこ入れ策として、国家発展改革委員会は環境保護や渋滞緩和を狙いとした乗用車ナンバープレート規制の新規導入を禁止し、広東省は既存のナンバープレート規制を緩和した。

 このように、弱い外需が引き続き景気の重しとなるものの、断固たる姿勢で安定成長を追求する政府の政策運営の下、中国景気の失速は回避されると見込まれる。

【プロフィル】関辰一

 せき・しんいち 2006年早大大学院経済学研究科修士課程修了。08年日本総合研究所入社、19年から調査部主任研究員。拓殖大学博士(国際開発)。専門分野は中国経済。著書に「中国経済成長の罠」。37歳。中国上海出身。

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