国内

中国減速や米中摩擦の影響に「留意が必要」 経済財政白書を提出 

 茂木敏充経済再生担当相は23日の閣議に令和元年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。白書は、昨年からの中国経済の減速や、今年5月に入り激化した米中貿易摩擦に言及。これらによる日本経済への影響に「留意が必要」と警鐘を鳴らした。また、足元で強まる人手不足については、生産性向上で賃金引き上げにつなげるとともに、働きやすい環境をつくることが重要だとした。

 改元後初めての経済財政白書。副題は「『令和』新時代の日本経済」とした。

 米中摩擦をめぐっては、米国による対中追加関税で中国の輸出が減少すると、「サプライチェーン(供給網)を通じて、中国だけでなく、日本も影響を受ける可能性がある」と指摘。中国政府による国内景気刺激策の効果に期待を示しつつも、これまでの米中間の追加関税の影響や今後の米中協議の動向には引き続き注意が必要だと指摘した。

 15歳~64歳の生産年齢人口が減る中、人手不足感は四半世紀ぶりの高水準にあり、「今後も人手不足が継続すれば企業活動に影響を及ぼすことが懸念される」と指摘。人手不足に対応する省力化投資を積極的に進めて生産性向上を図り、賃金引き上げや消費の刺激につながる好循環を生み出す必要性に触れたほか、「働きやすい環境をつくることで職場の魅力を高めることが重要な課題」とした。

 政府が実現を掲げる、デジタル化で社会の変革を図る「ソサエティー5・0」の経済効果もまとめた。将来の実用化が見込まれる完全自動運転車や家事代行ロボットは、それぞれ若い男性、働く女性らのニーズが期待され、消費を一定程度押し上げる可能性があると分析。また、定型的な事務作業をロボットが自動で処理する「ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)」などは生産性向上効果が高いとした。

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