論風

米中対決の本質と行方 中国はなぜ強硬姿勢なのか (1/2ページ)

 米中貿易摩擦ならぬ米中対決は、米国が中国を圧力の強化によって屈服させようとするのは、基本が間違っている。なぜか。中国にしてみれば、アヘン戦争から1世紀余の長きにわたって列強・先進国から屈服を強いられたことを想起させ、そのため米国との交渉で譲らないことが、以前受けた痛みに対するトラウマを解消することになり、今回は歴史上できなかった後には引かぬ決意を固めさせるからだ。(上智大学名誉教授・大和田滝惠)

 本稿では、中立の立場で論点の本質を探る。この問題は何がポイントなのか。先進諸国・旧列強が支配する国際経済体系を抜本改変し、発展途上国が公平に経済交易に参加できる国際経済体系にしようと模索してきた中国の国際社会へのチャレンジに根がある。

 国家戦略の成り立ち

 米国が中国に変更を強いているのは主に、国営企業への補助金の問題と知的財産権の問題だ。まず、国営企業、大型民営企業の技術水準を引き上げる補助金の見直しは、過去に列強から受けた干渉を想起させ、内政干渉を強く意識させるため、アレルギーのごとく反射的な拒絶反応を引き起こす。この問題は、習近平体制が断固として守るとする核心的利益、つまり国家の操縦に関わる最も重要な国益であり、譲歩はあり得ない原則問題だといえる。ここを変更させるのは極めて困難であって、トランプ米大統領のような中国を知らなさすぎる視野で攻勢をかけると、中国をさらに強硬姿勢にさせる。

 次に、外資進出企業に技術移転を迫る知的財産権の問題だが、「強制的な技術移転」だといわれ、不当な方法を使ったと非難されている。実はこの問題に、先進国が支配する経済的な国際体系を切り崩し、先進国を凌駕(りょうが)する国力保有を目指した中国の国家戦略が隠されている。長年、先進国が支配する国際経済体系に発展途上国が対等に参入することは難しかった。どう切り込めばいいのかと、中国は1980年代から国際社会へのアクセスでありながら国内法の裏付け措置を整えることで、かつて戦ったゲリラ戦のように先進国企業を個別に撃破し、国際経済体系に切り込む国家戦略を練り上げていた。

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