国内

日米貿易交渉、トランプ氏は農業成果優先 大統領選控え軟化 (1/2ページ)

 【ワシントン=塩原永久】米政権が対日貿易交渉で、これまで拒んできた自国の市場開放を容認する姿勢に転じた可能性が出てきた。大統領選を控えるトランプ米大統領は、農家の支持獲得を重視している。工業製品の関税撤廃を求める日本との交渉姿勢を軟化させ、停滞気味だった協議の加速を狙ったもようだ。

 「頂上はみえている」

 2日に記者会見した茂木敏充経済再生担当相はそう話し、2日間に渡った米通商代表部(USTR)、ライトハイザー代表との閣僚級協議に手応えを示した。

 双方に恩恵がある「ウィン・ウィン」の合意を主張してきた茂木氏は、米国側に譲歩がみられたのかと質問され、「そういう理解でいい」と回答した。

 日本は今春から本格化させた協議で、自動車や関連部品など工業製品の関税撤廃を要求したが、米国は拒否を貫き、先月下旬の事務レベル協議では日本の交渉筋に徒労感もにじんだ。

 米国が柔軟な姿勢を見せ始めた背景には、米国の農畜産業者に不満が募っていることがある。日本市場では、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)発効で不利な競争を強いられ、さらに、米政権が発動した対中制裁関税で、大豆農家などが中国の報復関税の標的にされている。

 米政府は1日、3千億ドル(約32兆円)分の中国産品に関税を上乗せする新たな制裁発動を表明。中国との通商対立は長期化が避けられなくなった。農業分野で一定の譲歩を認める日本と合意すれば、選挙戦で全米を奔走するトランプ氏は格好のアピールができる。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus