海外情勢

人民元下落、11年ぶり7元台に 米中貿易摩擦激化で

 【北京=西見由章】5日の中国・上海外国為替市場の人民元相場は対ドルで続落し、通常取引の終値(日本時間午後5時半現在)が前週末の2日と比べて1・35%安の1ドル=7・0352元となった。1ドル=7元を超える元安は2008年5月以来11年ぶり。トランプ米大統領が9月から中国産品に第4弾の追加関税をかける方針を示したことを受け、米中貿易摩擦の激化による景気の先行き懸念から元が売られた。

 中国人民銀行(中央銀行)は5日朝、人民元の対ドル相場の基準値を昨年12月以来の低水準となる1ドル=6・9225元に設定した。米側の新たな制裁関税によってすべての対米輸出品に追加関税がかけられる公算が大きくなる中、元安は影響を緩和し輸出を後押しする効果がある。また米国の利下げ決定が海外への資金流出につながる元の急落の抑止要因となることも背景に、一定の元安を容認したとみられる。

 人民銀は5日に発表した声明で、元の対ドル相場が1ドル=7元を突破したことについて、トランプ米政権を念頭に「一国主義と保護主義による措置や、中国に対する追加関税発動の見込み」の影響を受けたものだと認めた。ただ、こうした元相場の動きは「市場の需給と国際為替市場の変動」を反映したものだと強調、元は引き続き「安定と強さ」を保っていると主張した。

 丸紅中国法人の鈴木貴元・経済調査総監は「為替市場への参加者が少ない“夏枯れ相場”は足元の傾向を引きずりやすく、短期的にはさらに元安が進んでもおかしくない」と指摘。一方で「新興国通貨の下落が進めば再び元が買われて下げ止まる展開になるだろう。人民銀も一方的な元安は望んでおらず、そのまま元が暴落していくシナリオは考えにくい」と予測した。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus