株価・外為

五輪メダル、米中対立の影 安全資産の金高騰で価値上昇

 米中の貿易や通貨政策をめぐる対立が、2020年東京五輪・パラリンピックの金メダルの資産価値にも影響を及ぼしている。世界経済が後退したり、先行きの不安が高まったりするたびに、「安全資産」とされる金への資金流入量が変動するからだ。金の国際先物価格は現在、6年4カ月ぶりの高値圏を推移。前回リオ五輪の時から約14%上昇しており、金メダルは一段と輝きを増している。

 米ニューヨーク市場の金先物価格は14日、1オンス=1527.8ドル(約16万円)と反発した。米債券市場で景気後退のサインとされる「逆イールド(長短金利の逆転)」が起き、米国株が売られた一方、金が買われた。米国が第4弾となる対中制裁関税の一部延期を発表したものの、米中協議の行方は不透明だ。投資先として金が選ばれやすい状況は続いており、金価格は6営業日連続で1500ドル台を維持している。

 大会組織委員会によると、東京五輪の金メダルは直径8.5センチ、重さ約556グラム。どの角度から見ても光輝いてみえる渦のようなデザインが印象的だ。

 このうち金の分量は約6グラム。加工などにかかるコストを無視すると、金の部分の資産価値は約294ドルとなる。リオ五輪が開かれた3年前から約14%上昇した。

 ところが、金メダル全体の資産価値を計算すると、リオ五輪の約573ドルから、東京五輪は約599ドルと約5%上昇にとどまる。実は五輪の金メダルはほとんどが銀で、金は表面のメッキ部分のみ。銀は取引する投資家が少なく長期的に下落傾向にあるため、金価格上昇分が打ち消された。

 ちなみに、今年3月に開催された東京マラソンの金メダルは純金製で重さ約200グラム。資産価値は8354ドルと、五輪メダルとは桁違いの数字になる。

 金高騰の背景には、米中の対立構図がある。世界経済の先行きに不安を感じ、リスクを取りづらくなった投資家が資金を「無国籍通貨」とも呼ばれる金に逃がしている。

 問題はこの金の上昇相場がいつまで続くかだ。商品アナリストの小菅努氏は「米国の金融政策が利下げに転換し、米国の実質金利は低下している。流れは上向きだ」と述べ、年内にさらに100ドル程度の上昇を見込む。

 一方、エコノミストの豊島逸夫氏は「実需が追いつかないまま先物主導で上がってきた。トランプ米大統領が対中政策を柔軟化したり、米国の利下げが遠のく場合など、表層雪崩のような売り戻しがいつ起きても不思議ではない」と警戒を呼びかける。(米沢文)

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