海外情勢

国有林に遷都、数十億ドル節約 インドネシア、最有力候補は東カリマンタン

 インドネシアのジョコ大統領が4月末に発表した首都ジャカルタの移転先として、カリマンタン(ボルネオ)島東部の国有林が最有力候補に浮上していることが分かった。首都移転で10年間に推定330億ドル(約3兆4960億円)相当の費用がかかるとみられ、国有地を充てることで政府は遷都絡みの土地取得費用を数十億ドル節約できるとにらんでいる。

 イスラン・ヌール東カリマンタン州知事はこのほどインタビューに応じ、6万8000ヘクタールの国有地がすぐに利用できる、東カリマンタンのブキット・スハルト国立公園の保護林地域が現在、ジョコ大統領の新首都移転先の最終候補地に入っていることを明らかにした。2カ所の国際空港へのアクセスが容易で、地震や洪水など自然災害リスクからおおむね免れていることなど、大統領が新首都に求める主な基準も満たしているという。

 ヌール州知事は「大統領は『新首都は90%、東カリマンタンになりそうだ』と言っていた。インドネシアの中心に当たる東カリマンタンは新首都の有力候補だ。われわれのほぼ全ての条件を満たしている」と明かす。

 首都機能の移転は数十年来、定期的に検討されてきたが、ジャカルタの激しい交通渋滞は大きな社会問題となっており、切迫感が募っている。ジャカルタ首都圏は人口3000万人と過密状態で、交通渋滞による生産性喪失は年100兆ルピア(約7400億円)に上るとの試算もある。

 ジョコ大統領は最終候補地にカリマンタン島(ボルネオ島)の3カ所が含まれると明かしており、正確な場所をめぐる臆測がここにきて高まっている。

 ヌール州知事によると、ジョコ大統領は16日の2020年度予算演説で移転先を発表する可能性があるという。バンバン国家開発企画庁長官は6日、カリマンタン島の中央部と南部も候補先だと話していた。

 国家開発企画庁は4月の時点で、推定150万人の住民向けに4万ヘクタールの土地を開発する場合、首都移転費用は466兆ルピアに上り、国有地の一部を充てた場合の費用は323兆ルピアに減るとの見積もりを示していた。

 ブキット・スハルト国立公園はオランウータン保護センターのある場所だ。ヌール州知事は同公園の東部と西部に利用可能な土地があり、公園全体の約3割に相当するこれらの土地が新首都に活用されると説明。また、東カリマンタンは地震や火山の噴火が発生しやすい環太平洋火山帯の外側にあり、民族紛争も起こりにくいため、都市設計家から高い評価を受けるとの見方を示した。(ブルームバーグ Arys Aditya)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus