海外情勢

EUに特恵関税の維持求め声明 カンボジア縫製業協会、従事者らの生活懸念 (1/2ページ)

 カンボジアの縫製工場経営者らで組織するカンボジア縫製業協会(GMAC)は8月13日、欧州連合(EU)が、カンボジアに対して設けている特恵関税制度の停止を検討していることについて声明を出した。GMACはEUに対し、「カンボジアの縫製業の従事者75万人の暮らしや、関係する300万人に影響が及ぶ」として、特恵関税制度の維持を求めた。

 輸出額の90%占める

 カンボジアに対するEUの特恵関税制度は、2001年に始まった。GMACによれば、この特恵関税の主な受益者は、縫製業や製靴業、旅行用品製造業に従事する労働者だ。これら縫製関連産業の輸出額は、カンボジアの全輸出額の75%を占めるという。

 また、縫製関連業は、EU諸国向けの輸出額の90%を占める。18年の輸出額は約47億7000万ユーロ(約5650億円)に及び、これは特恵関税が適用された時点に比べて、10倍にも伸びている。EU諸国は、カンボジアの縫製業にとって最大の市場となっている。

 しかしEUは、主に17年から18年にかけてカンボジアのフン・セン政権が、最大野党だったカンボジア救国党をはじめとする野党勢力への弾圧に懸念を示し、特恵関税制度の停止をちらつかせながら人権問題の改善を求めてきた。

 同国では17年9月、カンボジア救国党の党首だったケム・ソカー氏が「米国と共謀して国家転覆をはかった」として、突然逮捕された。同11月には最高裁が、党首が訴追されたという理由で救国党を解党し、幹部や党員100人以上に5年間の政治活動禁止を命じた。こうしたフン・セン政権の野党勢力弾圧は、EUのみならず、国際社会の批判を浴びた。

 抑圧の矛先は米国にも向いていた。米国政府系のラジオ局を閉鎖し、米系NGO(非政府組織)の職員を強制退去。米国人が創設した英字紙「カンボジア・デイリー」が脱税を指摘され、協議の場を設けられることもなく「廃刊」に追い込まれたこともあった。

 野党勢力を排除した18年7月の国民議会選挙では、フン・セン首相率いるカンボジア人民党は当然、圧勝した。選挙には20政党が参加したが、蓋を開けてみれば125議席は全て人民党が独占するという結果だった。

 これに対しEUは、人権抑圧、野党弾圧が改善されなければ、カンボジアの特恵関税資格を剥奪すると表明。代表団がカンボジア入りして実地調査をするなど、「廃止に向けた手続き」が始まった。GMACによれば、カンボジアに対する特恵関税を停止するかどうかの決定は20年2月に発表される見込みだという。

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