海外情勢

リチウム下落に中国の影 EV需要低迷で供給過剰、増産見直し (1/2ページ)

 電気自動車(EV)向け電池の材料として不可欠なリチウムの価格が不安定だ。EV向け需要が高まるとの予測から過去3年急騰していた価格が、中国でのEV需要低迷を受けて2018年後半から下げ基調が続く。価格下落からベルギーの機能材料大手ユミコアなどのリチウム関連企業の間では、生産増強計画を見直すほか、業績予想を下方修正するなどの動きが広がっている。

 収益見通し下振れ

 15年半ばから18年半ばにかけて、リチウム価格は約3倍に高騰した。この時期に世界でEVの普及が急速に進み、自動車業界でリチウムの供給不足懸念が浮上したためだ。このため、供給を増やす動きが一斉に広がり、オーストラリアでは17年以降に6カ所のリチウム鉱山が開業。チリのプロクリカ鉱業相も6月、今後4年間で同国での生産量を倍増する計画を進めていると明らかにした。

 しかし、以前の予想に反し、最近では最大市場の中国でのEV販売が減速している。19年の第1四半期の中国のEV販売は前年同期比で約90%増加した。だが、ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス(NEF)のアナリスト、ニコラス・ソウロパウロス氏(ロンドン在勤)によると、この水準は17年から18年にかけての伸びの約半分にとどまるという。

 EV向け需要の鈍化を受け、リチウム価格は今年に入り約25%下落し、電池のサプライチェーンを強化する取り組みもトーンダウンし始めている。豪投資銀行のマッコーリー銀行のアナリストは7月のリポートで、「最新データによると、EV市場の成長は鈍化している。需要が不足する一方、供給過剰に陥っていると推測される。目下の投資家の関心は、今後どのEVメーカーが生き残れるかに集まっている」と指摘した。

 現在、豪州などから採掘された鉱石からのリチウムへの精製はほとんどが中国で行われているが、同国からの鉱石需要が減退していることも逆風になっている。豪リチウム資源会社のオロコブレの7月の報告によると、精製工場のコミッショニング(性能検証)が長期化している影響などにより、中国のリチウム精製業者による生産増強計画に遅れが出ている。このため、同国に鉱石を輸出する豪同業ピルバラ・ミネラルズは6月、一時的に生産ぺースを遅らせると発表した。

 こうしたリチウムブームの減退を受け、一部のリチウム関連企業の間では、収益見通しを下方修正したり、投資計画を削減したりする動きも出ている。ユミコアは4月、中国や韓国でのEV需要鈍化を理由に19年の収益見通しを下方修正した。また、世界最大のリチウムメーカー、米アルベマールはリチウム価格の下落を受け、15億ドル規模のリチウム加工工場の建設計画を中断することを明らかにした。

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