海外情勢

ECB緩和策0.1%利下げへ あす理事会 米との“通貨戦争”懸念

 欧州中央銀行(ECB)は12日に定例理事会を開き、景気てこ入れのため0.1%の利下げを中心とした金融緩和策を打ち出す見通しだ。金融緩和でユーロの対ドル相場が下がれば、ユーロ安を批判してきたトランプ米大統領による報復措置を招く可能性がある。

 ECBの理事会では、追加利下げ、銀行へのマイナス金利の影響を和らげる措置、緩和的政策をめぐるガイダンスの強化、銀行向けの長期資金供給、QEの再開などが検討されるとみられる。金融緩和には銀行の弱体化、資産バブルなどの副作用があり、財政ファイナンスを禁じる規則の順守も必要になる。

 ブルームバーグのエコノミスト調査によると、ECBは今回の理事会で中銀預金金利を0.1%引き下げマイナス0.5%にするほか、年内に一段のマイナス金利の深掘りをする見通しだ。市場では0.15%の利下げも織り込みつつある。QE再開への賛否は加盟国によって分かれているものの、エコノミストの8割以上はドラギECB総裁が反対を押し切ってQE再開を発表すると予想している。

 ブルームバーグ・エコノミクス(BE)はECBが理事会で、月額450億ユーロ(約5兆3380億円)で1年間の量的緩和策(QE)再開と中銀預金金利の0.1%引き下げ、階層化システム導入を含む大規模な金融緩和パッケージを発表すると予想している。

 ドラギ総裁は金融緩和の目標が物価安定にあり、ユーロ押し下げではないとの説明を繰り返しているが、トランプ大統領が「為替戦争だ」と主張しない保証はない。トランプ大統領はこれまで、米金融当局に金利引き下げの圧力をかける際、ユーロ相場に言及している。

 仏金融大手ソシエテ・ジェネラルのチーフグローバルFXストラテジスト、キット・ジャックス氏もECBの利下げを予想。「それが為替相場を大きく動かすかどうかは分からないが、動きが大きいほど、米大統領が反応する可能性は高くなる」と話す。

 トロント・ドミニオン銀行の外為戦略欧州責任者、ネッド・ランペルティン氏は「問題は、ECBの決定が米国による自動車関税などの報復措置につながらないかということだ。トランプ大統領がECBを理由に連邦準備制度理事会(FRB)に圧力をかけるだけではなく、ユーロ圏に対し、より攻撃的になれば、対立は新しい段階に入る」と述べた。ECBによる緩和策への期待から、ユーロは先週1.10ドルを下回り、対ドルで2年ぶり安値を付けた。円とスイスフランに対しても2017年以来の安値となった。(ブルームバーグ Craig Stirling、David Powell)

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