山本隆三の快刀乱麻

原発が座礁資産に 欧州「勇み足」 IEA懸念「運転延長を」 (1/3ページ)

 米国の石炭産業は「石炭はFour letter word(4文字言葉)ではない」と言っている。Four letter wordとは、言ってはいけない言葉を意味する。言ってはいけない言葉の多くが4文字であることからこう言われるが、石炭(Coal)はその4文字言葉になってきたようだ。

 欧米の機関投資家は近年、ESG(環境・社会・企業統治)の視点を重視する姿勢を強めている。投資対象から外される産業として、カジノ、たばこ、アルコールが挙げられることが多いが、そこに石炭も加えられることが増えてきた。

 石炭火力発電所の二酸化炭素(CO2)排出量が相対的に多いため温暖化対策上、望ましくないことに加え、将来、石炭関連産業の破綻もあり得ることが、投融資の対象から外す理由だろう。例えば、将来排出するCO2に価格付けが行われると、石炭火力の競争力が失われ、操業ができなくなる事態が想定される。

 そうした中、欧州連合(EU)では最近、原子力についても投資不適格とする動きが出ている。

 欧州委員会(EC)では昨年5月以降、環境、温暖化問題を考慮した投資の基準づくりを行っている。低炭素エネルギー源への投資を誘導するためだが、欧州議会は今年3月、原子力発電所、天然ガスインフラ、化石燃料関連産業を投資対象にしないことを決議した。投資基準に関する最終案がどうなるかはまだ不透明だが、この決議は物議を醸すかもしれない。

 国際エネルギー機関(IEA)は、温暖化対策とエネルギー安全保障を進めるうえで、原発の発電量が将来減少することは問題と警鐘を鳴らしている。同時に、欧州でも原発の経済効果を考慮すべきだとのリポートが出され、欧州議会の決議とは相反する方向性が示されているのだ。欧州議会の決議は勇み足なのだろうか。

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