海外情勢

強硬離脱で「食料不足」 英政権、最悪シナリオ公表 供給網寸断も (1/2ページ)

 英ジョンソン政権は11日、合意のないまま欧州連合(EU)を離脱した場合の最悪のシナリオ「イエローハンマー」を公表した。シナリオでは、食料品や医薬品、エネルギーなどの生活必需品の供給不能や、企業の生産活動に欠かせないサプライチェーン(部品供給網)寸断といった大混乱を想定するなど、合意なき離脱に対処できるとしていた首相の主張を覆す内容だった。また、スコットランド民事控訴院は同日、首相が決定した議会休会は違法との判断を示し、政権への批判が一気に強まっている。

 「無責任」野党が批判

 「イエローハンマー」は非公開とされてきたが、与党・保守党の造反議員が9日、野党と共同で文書公開を強制する採決を求め、議会が命じる開示期限の10日夜、概要が公開された。

 5ページにまとめられた計画要旨は、合意なき離脱の場合には、食料品と燃料の不足、サプライチェーンの途絶、治安の乱れ、交渉の席に戻ることを求める強烈な圧力が生じかねないと警告している。

 最大野党・労働党で「影のEU離脱担当相」を務めるケア・スターマー議員は声明で「政府がこれらのあからさまな警告を無視し、国民が証拠を目にしないようにしてきたことは全く無責任だ。ジョンソン首相は、合意なき離脱の結果について国民に不誠実だったことを今すぐ認めるべきだ」と主張した。

 公表されたシナリオによると、合意なき離脱の初日にドーバー海峡を渡ろうとするトラックの最大85%はフランスの税関手続きを通過する用意がないと考えられ、英ドーバー港と仏カレー港経由の物流が遮断される恐れがある。

 貨物輸送量は3カ月かけて離脱前の水準の50~70%を回復する見込みで、こうした物流の遅れの深刻な長期化に“特に脆弱(ぜいじゃく)”な医薬品は、備蓄が不可能なものもあれば、それ以外についても“予想される最大6カ月の遅れ”に備える備蓄は現実的ではないと断じている。

 生鮮食品の一部供給が減って品ぞろえも悪くなるほか、地域の交通混乱が燃料の流通に影響する恐れも指摘している。国境を越えて行われる英金融サービスの一部が停止し、全国規模で抗議行動が起き、警察力が奪われる。

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