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日銀、追加緩和を見送り 弱い円高圧力 世界的潮流の「蚊帳の外」 (3/3ページ)

 このように日銀は「蚊帳の外」とはいえ、米欧中銀に先導されて緩和は世界的な潮流になった。世界景気にもプラスに働くだろう。だが過度の期待は禁物である。

 一番大きな問題は企業の生産、投資マインドが慎重化している点だ。いうまでもなくトランプ大統領の政策が全く予想できず、企業の間で先行きへの不確実性が高まっているのが原因だ。

 企業活動が慎重化すると、せっかく金融を緩和しても資金需要は増えなくなってしまう。利下げを強要するトランプ氏が自ら利下げ効果を打ち消しているのは、何とも皮肉な構図である。こうして行き場を失った余剰マネーは、不動産などの資産市場に流れ込んで、バブルの芽を育むことにもつながる。

 日米欧ともに緩和は成果を得にくい状況下にある。景気減速に対応するには、金融政策ではなく財政政策を活用すべきだろう。

【プロフィル】枩村秀樹

 まつむら・ひでき 日本総合研究所チーフエコノミスト。1969年福井県生まれ。東京大経済学部卒。専門は国内外のマクロ経済分析や予測。

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