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米との貿易協定合意の文書に署名へ 年度内発効目指す (1/2ページ)

 【ニューヨーク=飯田耕司】安倍晋三首相は25日昼(日本時間26日未明)、米ニューヨークでトランプ米大統領と首脳会談を開き、新たな貿易協定の最終合意を確認する文書に署名する。双方の関税引き下げ・撤廃による貿易活性化が期待される。10月に始まる臨時国会で協定案が承認されれば、年内にも発効の条件が整う見通し。

 日米両政府は、8月末の大枠合意後、事務レベルで協定文書のすり合わせ作業を続けてきた。

 新協定は、農業分野に関しては、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)よりも大幅に少ない品目数での関税引き下げ・撤廃にとどまった。日本側は、米国産牛肉、豚肉などに対する関税を、昨年末に発効したTPP水準まで一気に引き下げることで米国側に譲歩。牛肉については、現在の38・5%から最終的に9%になるほか、緊急輸入制限(セーフガード)の発動基準も緩和する。米国産小麦に対し、TPP交渉時の合意から1万トン少ない14万トンの無税枠を設けた。

 一方、日本がかつてTPPで米国に認めたコメの無関税枠7万トンについては大幅に削減。バターや脱脂粉乳などへの低関税枠は設けないなどの条件を引き出した。

 工業品分野については、日本が求めた米国向け自動車、自動車関連部品の関税撤廃は見送られるが、日本は、米国が日本からの輸入車に高関税(25%)や数量規制を発動しないとの確約を得た。

 文書とは別に公表する共同声明には「協定が履行されている間、共同声明の精神に反する行動を取らない」という趣旨の文言が盛り込まれる見通しだ。

 外交戦術で苦戦するトランプ氏は来年の再選に向けた成果として日米貿易協定を結びたい意向があり、交渉の早期合意を要求。日本側も長引けばこれ以上の好条件は見込めないと判断した。交渉入りを決めてから約1年でのスピード決着となった。

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