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日米首脳会談の席にカウボーイハットの集団 トランプ氏、再選に向け成果

 【ニューヨーク=塩原永久】トランプ米大統領は来年の大統領選に向けて、米国の農家に恩恵となる対日貿易協定を、通商政策の看板となる実績としてアピールする構えだ。3年前の大統領当選で原動力となった中西部の農業地帯「コーンベルト」は、米国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱と中国からの報復関税の「二重苦」に苦しんでいる。対日協定のスピード締結はトランプ氏の支持固めに一役買いそうだ。

 トランプ氏は25日、ニューヨークでの安倍晋三首相との首脳会談の冒頭、米農畜産団体の幹部らを同席させた。カウボーイハットをかぶった畜産家らが、日米閣僚陣の背後を陣取る一風変わった光景となった。

 「私たちは公平な競争を求めてきた。それを達成してfくれた大統領に感謝だ」

 米団体幹部はそう述べ、日本との協定発効への期待を語った。「テレビ映りを熟知するトランプ氏の舞台回しだ」。日本政府幹部はすぐにそう察知した。

 2016年の大統領選でトランプ氏は、農業地帯と重なる中西部州で勝利して当選した。再選戦略でも重視する地域だが、対立候補優位を覆したミシガン州など、支持率が民主党候補に及ばない州が出ており、陣営には危機感がある。

 米国は17年初めにTPPを離脱。日本市場でTPP加盟国のオーストラリアやカナダより不利になり、米農家は不満を強めていた。トランプ氏が「貿易戦争」を仕掛けた中国は大豆などの米農産品に報復関税を課し、中西部には打撃だ。

 トランプ氏は日本との協定について「TPP水準の市場開放」を打ち出し、有権者に成果を誇示するとみられる。次の一手は日本との包括協定だ。同氏は安倍晋三首相との調印式冒頭、「最終的な包括協定の締結に向けて協議を続ける」と強調した。米商工会議所も25日、今回の妥結を「部分合意」と位置づけ「不十分だ」と指摘し、包括協定を米政府に強く要請した。

 包括協定は幅広い分野が対象となるだけに、日米交渉筋には早期とりまとめは困難との見方が根強いが、米政府内からは「包括合意に向けた日本との交渉を楽しみにしている」(国務省幹部)との声も出ている。

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