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年金税制、抜本的な見直しには反発も

 政府税制調査会の中期答申で、確定拠出年金など私的年金に関する税制の見直しが提案されたのは、長寿化で老後の資産形成の重要性が増す一方、制度が働き方の多様化に対応できておらず、公平性の観点で課題が残るためだ。ただ勤続年数が長いほど優遇されている退職金税制の見直しなども提言され、老後の生活設計にも大きく関わるテーマだけに、反発も予想され抜本的な見直しには時間がかかりそうだ。

 答申で「課題がある」と指摘された私的年金。企業年金を取りやめる企業が増える中、“主役”になりつつあるのが確定拠出年金だ。企業型(DC)と個人型(iDeCo、イデコ)があり、今年3月末時点の加入者は計800万人を超える。特に95歳まで生きるには2000万円の蓄えが必要とした金融庁の報告書が問題となって以降は、国民の関心も高い。

 確定拠出年金は「拠出」や「運用」、「給付」の3段階で税制の優遇措置が受けられることから、拠出額には上限が設けられている。特にイデコは働き方や務め先の制度によって月額1・2万~6・8万円まで上限に幅があり複雑だ。働き方で異なる公的年金や企業年金とのバランスを取った結果だが、公平性の観点でもまだ改善の余地があるものとなっているのだ。

 政府は海外の例を参考に、拠出額に上限を設けた上でDCやイデコなどを自由に組み合わせられる仕組みなどを検討しており、実現すれば制度が簡素化する上、税優遇の範囲が広がる可能性があり、国民にとっては朗報だ。

 しかし、見直しは簡単ではない。税収の大幅な減少に繋がる可能性があるからだ。そのため、財務省は年金の給付時にかかる税が、海外と比べて優遇されている点や、勤続年数が20年を超えると、退職金の所得控除額が拡大する制度が、転職が増えている今の働き方にあっていない点を問題視。「私的年金を見直すならセットで議論するべきだ」(財務省幹部)との姿勢だ。大和総研の是枝俊悟研究員も「議論が退職金税制などに及べば抵抗も大きく、調整は難しくなるだろう」と話している。

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