海外情勢

FRB、資産拡大を再開 議長表明 短期市場の混乱抑止、QEは否定

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8日、短期金融市場で最近見られたような混乱が再発しないよう、当局は米財務省証券の購入を再開すると表明した。また、今年3回目となる利下げの可能性もほのめかした。

 Tビル購入を検討

 パウエル議長は同日、コロラド州デンバーで開かれた全米企業エコノミスト協会(NABE)の年次会合で、「私と同僚は徐々に準備預金の供給を増やしていく措置を近いうちに発表する方針だ」と述べた。

 パウエル議長は購入の対象として米財務省短期証券(Tビル)を検討しているとしたうえで、金融危機時に実施した量的緩和(QE)プログラムの復活と捉えるべきではないと強調した。議長発言を受けて3カ月物Tビルの利回りは低下した。

 パウエル議長は「準備預金管理のための保有資産(バランスシート)の拡大は、金融危機後に当局が実施した大規模資産購入プログラムと一切混同されるべきではないことを強調したい」と発言。「最近の技術的な問題も、その解決に向けて当局が熟考しているTビルの購入も、金融政策スタンスに重大な影響を与えるものではない」と説明した。そのうえで「これはQEではない」と、講演後の討論で強調した。

 米金融当局は世界経済の減速と貿易政策の不確実性から米経済を守るため、今年2回利下げした。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、10月29、30両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が現行の1.75~2%から引き下げられるとの見通しが織り込まれている。

 パウエル議長はFOMCの次の動きについて明言を避けた。議長は「今後の政策は事前に設定されたコースにはない」とし、「次のFOMCは数週間先であり、われわれは今後入ってくる情報を注視していく」と述べた。

 3回利下げ成功例

 一方、講演後の質疑応答で議長は現状について、米金融当局が3回の利下げによって景気拡大を持続させるのに成功した1990年代の2つの例になぞらえてみせた。

 バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏はパウエル議長の発言について、金融当局が次回FOMCでの追加利下げに近づきつつあることを示唆するものだが、「まだ確定的ではない」とし、デンバーの会合に参加したウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏も「引き続き今月中にも追加利下げが行われる可能性は大きい」と話した。

 パウエル議長は金融当局が既に取った行動は「見通しの支えになる」とし、見通しは依然として良好だが、貿易や英国の欧州連合(EU)離脱など主に世界情勢によるリスクに直面していると指摘。「持続的成長と好調な労働市場、インフレ率の2%目標への回帰を支えるべく適切に行動していく」と付け加えた。

 さらに「現時点で広範な地政学的リスクは重要だ。これらを注視し、その含意を評価する必要がある」と語った。(ブルームバーグ Rich Miller、Steve Matthews)

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