国内

線引き困難、企業に警戒感 デジタル課税骨格案、税逃れ抑止 

 多国籍企業の税逃れに網をかける「デジタル課税」の骨格案が経済協力開発機構(OECD)から公表された。「GAFA」と呼ばれる米IT企業が台頭するなど、経済活動が大きく変わる中、国際課税のルールも「100年ぶりの大改革」を目指す。ただ、税収増を狙う各国の思惑は錯綜(さくそう)。対象企業の線引きをめぐる着地点は見通せず、日本企業には警戒感も広がる。

 ネットで環境激変

 「恒久的施設がなければ課税しない」。第一次世界大戦の終結後、企業活動の国際化に伴って1920年代に国際連盟の議論で確立したとされる基本原則だ。各国がそれぞれ企業に課税する事態を防ぐため、進出先に支店や工場などの施設があれば税を徴収できるルールを設けた。

 だがインターネットの登場で環境は激変。アップルの音楽配信やグーグルのオンライン広告は世界中で利用されているが、拠点がなくても事業を展開できるため、現行の税制では利用者がいる「市場国」に十分な課税権がなかった。

 欧州では、グーグルやアマゾン・コムが巨額の利益を稼いでいるのに域内で適正に税を支払っていないという不満が爆発。フランスや英国などで独自に課税を目指す動きが広がった。

 幅広い業種が対象

 「大ファンではないが、偉大な米国企業だ」。トランプ米大統領は今年8月、フランスによるグーグルなどへの課税強化に反発。フランス産ワインへの報復関税までちらつかせた。

 米国は、デジタル課税のルールづくりで自国の巨大IT企業が狙い撃ちされるのを警戒した。アリババグループや騰訊控股(テンセント)を抱える中国も同調したとされ、新ルールは幅広い業種が対象となる方向だ。各国で独自に課税する動きが広がる中、米IT企業も国際課税の枠組みが安定することを望んでいるとみられる。

 「GAFAが対象の話ではなかったのか」。新ルールが幅広い業種に適用される方向となり、日本企業には警戒感が広がる。利益率の基準は「10%超」とすることが有力案で、多くの日本企業は対象から外れるものの、製薬会社やIT企業は含まれる可能性がある。

 あるIT大手はデータを使ったプラットフォーム事業が成長産業だと指摘した上で「税負担が重くなったり、税務処理が複雑になったりして事業の重しにならないように配慮してほしい」と訴える。

 日本政府はOECDの議論で主要な役割を担ってきた。財務省幹部は、新ルールの適用対象を決める上で「税収を減らして日本の懐を痛めるつもりはないが、各国の合意も取り付けないといけない」と話し、着地点に導く難しさを指摘する。(東京、ロンドン、ニューヨーク 共同)

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