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ベトナム、米中摩擦で「漁夫の利」 依然として高い成長への期待

 米中貿易戦争は、2018年7月の米国による対中輸入関税の引き上げを機に本格化し、これによる世界経済の減速、先行き不透明感が続いている。

 こうした中、中国の隣国ベトナムは19年に入り、中国からの直接投資額が前年比3倍以上と急速に増加しており、これまで最大の投資国だった日本や韓国を上回っている。中国から距離的に近く、労働力が豊富で人件費が安いことから、米国の関税を回避するために生産移管を進める中国企業が増えるなど、米中貿易戦争の「漁夫の利」を得ている。生産移管に加えて、中国から米国に向けた輸出の一部はベトナム経由で迂回(うかい)して行われている可能性も指摘されており、ベトナムから北米に向けたコンテナは増加傾向にある。

 こうした「漁夫の利」もあり、ベトナムの成長期待は依然として高い。19年9月にアジア開発銀行(ADB)が公表したアジア経済見通しでは、タイやフィリピンなどの成長率見通しが引き下げられた一方、ベトナムは19年6.8%、20年6.7%に据え置かれ、伸び率としても東南アジア諸国で最も高い。

 ベトナム景気の先行きに対する懸念材料は、世界経済の先行きと米国との関係だ。今後、世界経済が一層減速すれば、ベトナム経済にも下押しとなる。また、米国は19年5月に為替報告書においてベトナムを「監視対象国」に指定しており、巨額の貿易赤字に神経をとがらせる米国が、ベトナムを次の制裁対象とする可能性は否定できない。ベトナムが今後も高い成長を続けるためには、米国からの輸入拡大などで、米国との良好な関係を構築できるかが重要となる。(編集協力=日本政策投資銀行)

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