海外情勢

中国、9月の対米輸出が約22%減 続く貿易戦争の影響

 【北京=三塚聖平】中国税関総署が14日発表した9月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比3・2%減の2181億2千万ドル(約23兆6千億円)で、輸入は8・5%減の1784億7千万ドルだった。同月の対米輸出は21・9%減、輸入は15・7%減と大きく悪化した。9月1日には米中が第4弾の制裁関税を発動しており、制裁の応酬が米中貿易に悪影響を与えたとみられる。

 税関総署の李魁文報道官は14日の記者会見で、米中貿易摩擦による影響について「外国貿易に一定の圧力をもたらしている」と指摘した。トランプ米大統領は11日に中国との貿易協議が「第1段階の合意に達した」と述べており、李氏は「中米貿易を拡大させる上で好材料になるだろう」と今後に期待した。

 一方、1~9月の対米貿易総額は、前年同期比14・8%減の4026億5800万ドルだった。輸入が26・4%減と大きく落ち込み、輸出も10・7%減と悪化している。対米貿易黒字は約2%減少し、2213億3400万ドルだった。米国向けが大きく悪化する中で、東南アジア諸国連合(ASEAN)や、欧州連合(EU)の加盟国向けの輸出が伸びている。

 また、中国国家統計局が15日に発表した9月の工業品卸売物価指数(PPI)は、前年同月比で1・2%下落した。3カ月連続のマイナス。貿易戦争の影響により工業製品の価格が下落している。

 米中貿易摩擦は今月10~11日の閣僚級協議で緊張がひとまず緩和されたが、米国が12月15日に発動予定の1600億ドル分の中国産品への追加関税の取り扱いなど、火種はくすぶる。貿易戦争は経済への打撃を徐々に増しており、貿易協議が「最終合意」に達するかが景気の先行きを左右する。

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