国内

さくらリポート 消費増税後の鈍化懸念相次ぐ

 日銀が公表した10月の地域経済報告(さくらリポート)で、ほとんどの地域が景気の総括判断を据え置いたのは、海外経済の落ち込みによる製造業の減速を堅調な非製造業が補ったためだ。ただ、消費税増税後の個人消費の鈍化を懸念する声も相次ぎ、経済環境には変調の兆しがみえる。日銀は景気の先行きを見極め、今月末の金融政策決定会合で追加の緩和策が必要かを慎重に判断する。

 「この半年間、納入先から『3カ月後には中国向けを中心に需要が回復する』といわれ続けたが、結局その時期は後ずれした」(関東甲信越地域の生産用機械)

 リポートでは米中貿易摩擦の余波で業績が悪化した製造業の恨み節が続いた。

 それでも日銀の各支店が地域の景気判断を維持したのは、「海外富裕層のさらなる取り込みを図るため高級ホテルを建設する予定」(北海道の宿泊)など景気の牽引(けんいん)役である設備投資が非製造業で底堅いからだ。

 とはいえ、今後は消費税増税の影響が景気を左右する。10月に入り消費現場では財布のひもが固くなり、増税前の駆け込み購入が多かった高額家電などを中心に売れ行き鈍化が目立つ。

 東京商工リサーチの集計では、2019年度上半期(4~9月)の全国企業倒産件数(負債額1000万円以上)は前年同期比3.2%増と2年ぶりに増加。特にサービス業や小売業の増勢が著しく、増税後の倒産拡大が懸念される。さくらリポートでも「先行き不透明感の高まりで不要不急の買い物を避ける動きがみられる」(関西地域のスーパー)など、不安の声が相次いだ。

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は15日の支店長会議で物価上昇の勢いが損なわれる恐れが高まれば「躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」と改めて言及した。だが、米中貿易協議が部分的に合意したことで外国為替市場では安全資産とされる円が売られ、円安ドル高が進んでいる。輸出企業に打撃を与える円高の懸念が弱まったこともあり、市場関係者の間では、経済や物価の先行きを再点検する今月30、31日の決定会合は政策を据え置くとの見方も根強い。(田辺裕晶)

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