国内

離脱相次ぐリブラ、G20で規制議論 さらなる逆風も

 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、交流サイト大手フェイスブックが発行を計画する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」についても協議する。6月に開かれた前回会議はリブラ構想の発表前で、同会議としてリブラを議論するのは初めて。リブラをめぐっては各国の規制当局が懸念を強めるほか、運営団体「リブラ協会」への参加を見送る企業が相次いでおり、発行に向けた準備は難航。議論の行方次第ではリブラにとって更なる逆風となる可能性もある。

 リブラはフェイスブックが今年6月に構想を発表した仮想通貨。既存の金融機関のネットワークを介さずに資金をやりとりできることが特徴だ。27億人の顧客基盤を持つフェイスブックが手掛けることで利用が一気に広がり、買い物や送金のあり方を大きく変える可能性がある。

 ただリブラのような新たな送金手段は、テロ資金の流通やマネーロンダリング(資金洗浄)などに使われる可能性もあり、各国の規制当局者の警戒も強い。7月の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも「重大な懸念」を共有し、フランスのルメール経済・財務相は、通貨に関する国家主権を脅かす危険性があることなどを理由に運用を「認めない」と表明した。

 G20は今回の会合でリブラを念頭に、同種の技術がもたらすリスクについて認識を共有したい考え。一方、金融インフラなどが整備されておらず、銀行口座などを持たない国民も多い新興国ではリブラの恩恵は大きいという事情もあり、技術革新の芽を摘むことなく、規制にむけた足並みをそろえられるかが焦点となる。

 リブラをめぐってはこのところ、リブラの発行や運営を担う「リブラ協会」からの離脱が相次いでいる。米決済サービス大手ペイパルは4日に脱退を公表。その後、米クレジットカード大手のビザやマスターカードなども相次いで不参加を表明した。当初は28の企業・団体で設立予定だったリブラ協会は、14日の設立時には21の企業・団体にまで減少した。

 ただ、各国の規制当局にはリブラ自体の発行や普及に向けた動きが遅くなったとしても、「第二のリブラはいつ出てきてもおかしくない」(関係者)との見方もあり、警戒を弱めるつもりはなさそうだ。

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