海外情勢

中国、喪失の豚2億頭か ASF猛威 養豚半減、豚肉生産25%減の分析 (1/2ページ)

 アフリカ豚コレラ(ASF)の拡大・蔓延(まんえん)により、中国で豚の大量死が確認されるようになってからほぼ1年がたつ。しかし、専門家はいまだに、失った豚の数を正確に把握できていない。

 中国の公式統計によると、ASF撲滅のために約120万頭の豚を殺処分したことになっている。これに対し、ラボバンクは先月、中国の養豚数が昨年8月以降、2億頭に半減し、豚肉生産量は25%減(1300万トンの減少)と、「かつてない規模」の落ち込みになったとする分析を披露した。2億頭減少したとすれば、中国当局の発表は実際に殺処分された豚の数を少なく見積もったことになる。

 一方、中国の農業農村省によると、今年8月の豚肉の在庫は、ASFウイルスが初めて国内で検出された前年同月から39%減と大幅に縮小した。米農務省は中国の養豚数が2017年に7億400万頭と世界全体の55%を占めたものの、(ASFが発生した)18年の年末には4億2800万頭まで減少し、20年も5億700万頭と20年来の低水準にとどまると予想する。18年末の数字に基づくと、8月の在庫減少分は1億6700万頭の喪失に相当する。

 業者立ち行かぬ状況

 国連食糧農業機関(FAO、本部ローマ)のファン・ルブロス主席獣医官は「膨大な数だ。ASFで死んだ豚の数はなおさらのこと、ウイルスが検出された場所の全頭殺処分だけでなく、恐らくは養豚業が立ち行かない状況を示している」と話した。

 動物用医薬品・栄養剤メーカー、米フィブロ・アニマル・ヘルスのジャック・C・ベンドハイム会長兼最高経営責任者(CEO)は先月開催されたモルガン・スタンレー・グローバル・ヘルスケア・コンファレンスで「中国でASFが急拡大する様子に皆、ショックを受けた。同国で消えた豚の数は他の世界の地域・国の養豚数を合算した数を上回る。従ってその影響は甚大かつ一目瞭然で、中国は壊滅的な影響を受けている」と語った。

 世界最大の動物向け医薬品メーカー、米ゾエティスのストラテジー&コーポレートディベロップメント担当のグループ・プレジデント、クリスティン・ペック氏は同じ会議で、「中国政府の話の何を信じるかによるが、(失われた豚の数が総数に占める割合は)30%から70%の範囲だ。30%だったとしても、失われた量は既に米国の年間豚肉生産量を上回っている」と指摘した。

 世界最大の豚肉生産国であるとともに消費量も世界一の中国が、主なタンパク質源である豚肉から受ける影響を数量化するのは重要だ。同国では豚肉の供給が落ち込んだことで食肉価格は過去最高値に上昇し、物価上昇をあおっている。

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