海外情勢

インド、使い捨てプラ対策に本腰 取り締まり強化、経済・雇用の足かせ

 インドのモディ首相は年間940万トン発生するプラスチックごみによる汚染対策に乗り出した。使い捨てのレジ袋や食器などのプラ製品の使用を制限し、2022年までに全廃する禁止令を、インド独立の父、マハトマ・ガンジー生誕150年に当たる10月2日に発効した。

 プラ製品使用の取り締まり強化は、経済成長率がこの6年間で最低の水準に陥り、失業率が45年間で最悪となる状況下で経済・雇用環境のさらなる足かせになりかねない。印コンサルティング会社テクノパック・アドバイザーズのアンクール・ビセン氏は「政府がプラ製品使用を禁止すれば、サプライチェーン(調達網)が断絶し、牛乳からビスケットまで価格が上昇し、食品加工や消費財などの産業が打撃を受ける。プラ製品の代替物を手当てするほか、リサイクルへの投資を促す適切な環境も整備されるべきだ」という。

 インド国民1人当たりが使用するプラスチックは年間11キログラムで、米国の109キログラムに遠く及ばない。ただ、インド国民は代替物より安価なプラ製品の使用削減には消極的だ。

 さらに、適切な処理施設を備えておらず、プラごみ問題の深刻さが際立つ。プラ製品廃棄物全体の約60%はリサイクルされているものの、残りは道端に捨てられたり、埋め立てに利用されたりしている。湖や海洋に投棄されたプラごみは、最終的に食物に連鎖影響を及ぼす。中央政府や各州は既にレジ袋の使用を禁止しているものの、厳格に実施されてはいないのが現状だ。

 インドのプラ製品製造の業界団体代表のサドゥー・ラム・グプタ氏は「政府に免除や代替物製造に移行するための助成金を求めている企業もあるが、プラ製品使用を禁止すれば小規模小売店に影響し、次いでプラ製品企業が廃業に追い込まれ、失業者が出る」という。

 半面、海外企業がこうした状況を商機と捉えている。仏石油大手トタルとオランダ系乳酸メーカー、コービオンの合弁企業はインドの空港、消費財メーカー、接客・食料品配達チェーンなどと生分解性プラ製品の提供で交渉を始めた。

 インドのプラスチック環境汚染対策基金のディレクター、アヌープ・クマール・シュリーヴァスタヴァ氏は「環境に優しい産業分野での雇用機会が拡大し、プラスチック産業からの雇用の受け皿となれば、代替製品が実際に使用されるようになる」と語る。(ブルームバーグBibhudatta Pradhan、Vrishti Beniwal)

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